第58回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

成人先天性心疾患

ポスター発表(II-P4-6)
成人先天性心疾患 III

2022年7月22日(金) 15:30 〜 16:30 ポスター会場

座長:島田 衣里子(東京女子医科大学 循環器小児・成人先天性心疾患科)
座長:田中 靖彦(静岡県立こども病院 循環器科)

[II-P4-6-08] ファロー四徴症術後遠隔期の肺動脈弁置換術の効果:心臓Magnetic Resonanceの所見を中心に

佐藤 麻朝, 藤村 友美, 丸山 和歌子, 浦田 晋, 進藤 考洋, 三崎 泰冶, 小野 博, 賀藤 均 (国立成育医療研究センター)

キーワード:CMR, rTOF, PVR

【背景】ファロー四徴症術後(rTOF)遠隔期に重度の肺動脈弁逆流(sPR)のため、肺動脈置換術(PVR)を必要とする症例が存在する。【目的】当院で施行したsPRを呈するrTOF症例の肺動脈弁置換術(PVR)前後で、主に心臓Magnetic Resonance (CMR)の所見の特徴を比較検討すること。【対象と方法】2011年11月から2021年12月の期間中、当院でPVRを施行した10例(男4例:女6例)のPVR前後の主にCMRの所見についてMann-WhitneyのU検定を用いて比較検討し、P値は0.05未満を有意とした。MR装置はSIEMENS社Sora Fit (1.5T)、解析はsyngo. Via MR Cardiac Perfusionを用いた。【結果】心内修復術施行時の年齢は中央値4歳(2-10歳)、PVR時は中央値29歳(10-42歳)、PVR後CMR施行時は中央値34歳(12-45歳)であった。PVR前後で肺動脈逆流率は(中央値 前46.9%、後4.7%:p=0.0001)と著明に減少した。右室拡張末期容積 (中央値 前181.2mL/m2、後110.2 mL/m2:p=0.0007)と右室収縮末期容積 (中央値 前101.8 mL/m2、後60.05 mL/m2:p= 0.003)は減少、右室心係数 (中央値 前4.800 L/min/m2、後3.405 L/min/m2:p= 0.023)は低下したが、右室駆出率は有意な変化がなかった(中央値 前38.60%、後44.55%:P値0.17)。左室の指標は有意な変化はなかった。BNPは(中央値 前60.65 pg/mL、後26.25 pg/mL:p値 0.006 )と低下した。【考察】PVR施行後は、右室容積が拡張末期、収縮末期とも縮小し、左室機能は変化がなく、BNPの低下は右室の負荷の軽減を反映している可能性が高い。rTOF症例のPVRは短期的には右室の過剰な負荷を軽減させる効果がある。