[II-P4-6-09] 症候化した静脈管開存を伴った超低出生体重児の一例
キーワード:門脈体循環シャント, 新生児, 超低出生体重児
【緒言】静脈管の閉鎖遅延は,門脈体循環シャントとなり,血行動態および代謝へ影響を及ぼす.今回,静脈管開存による症状を認め,管理に難渋したにも関わらず,後に自然閉鎖した超低出生体重児を経験したので報告する.
【症例】在胎28週,593gのsmall for gestational age児.心不全兆候と胎児ジストレスのため帝王切開で出生した.心胸郭比70%,BNP 9933pg/mlと高値であり,カテコラミン,フロセミド持続静注で管理した.動脈管は日齢2に自然閉鎖したが,超音波検査で太い静脈管が門脈から左肝静脈へ接続していた.出生時より高インスリン性低血糖が遷延し,日齢5から直接ビリルビンの上昇を認め,その他の検査所見とあわせて門脈体循環シャントの合併症と診断した.ガラクトース値の上昇は軽度であったが,成長障害,栄養障害に伴う難治性の皮膚炎や潰瘍,低血糖,直接ビリルビン高値 (6.3mg/dL),総胆汁酸高値 (283μmol/L),低Alb血症 (1.9g/dL),心拡大など静脈管開存による合併症が遷延し,日齢84までブドウ糖輸液を要するなど管理に難渋した。静脈管の走行から外科的介入はリスクが高く,難治性皮膚炎のためカテーテル治療も困難であった.生後4ヶ月頃より徐々に静脈管は閉鎖傾向となり,体重増加も認め,生後6ヶ月(修正3ヶ月)に退院した.修正4ヶ月に静脈管血流は途絶し,修正5カ月で閉鎖した.
【考察】早産児では,成熟児と比較して,静脈管の閉鎖時期が遅いことが示唆されているが,未熟児動脈管開存症と異なり,症候化することは経験上ほとんどない.静脈管閉鎖を誘発するといわれている臍静脈カテーテルやインドメタシンを本児で使用しなかったことや出生時の心不全が閉鎖遅延に影響した可能性がある.
【結語】超低出生体重児の静脈管開存は,症候化し管理に難渋した場合でも自然閉鎖が期待できる可能性がある.
【症例】在胎28週,593gのsmall for gestational age児.心不全兆候と胎児ジストレスのため帝王切開で出生した.心胸郭比70%,BNP 9933pg/mlと高値であり,カテコラミン,フロセミド持続静注で管理した.動脈管は日齢2に自然閉鎖したが,超音波検査で太い静脈管が門脈から左肝静脈へ接続していた.出生時より高インスリン性低血糖が遷延し,日齢5から直接ビリルビンの上昇を認め,その他の検査所見とあわせて門脈体循環シャントの合併症と診断した.ガラクトース値の上昇は軽度であったが,成長障害,栄養障害に伴う難治性の皮膚炎や潰瘍,低血糖,直接ビリルビン高値 (6.3mg/dL),総胆汁酸高値 (283μmol/L),低Alb血症 (1.9g/dL),心拡大など静脈管開存による合併症が遷延し,日齢84までブドウ糖輸液を要するなど管理に難渋した。静脈管の走行から外科的介入はリスクが高く,難治性皮膚炎のためカテーテル治療も困難であった.生後4ヶ月頃より徐々に静脈管は閉鎖傾向となり,体重増加も認め,生後6ヶ月(修正3ヶ月)に退院した.修正4ヶ月に静脈管血流は途絶し,修正5カ月で閉鎖した.
【考察】早産児では,成熟児と比較して,静脈管の閉鎖時期が遅いことが示唆されているが,未熟児動脈管開存症と異なり,症候化することは経験上ほとんどない.静脈管閉鎖を誘発するといわれている臍静脈カテーテルやインドメタシンを本児で使用しなかったことや出生時の心不全が閉鎖遅延に影響した可能性がある.
【結語】超低出生体重児の静脈管開存は,症候化し管理に難渋した場合でも自然閉鎖が期待できる可能性がある.