[II-P4-7-06] IVIG不応型川崎病の治療方針;冠動脈内径を参考にした3rd line治療の選択(第2報)
Keywords:川崎病, IVIG不応, 血漿交換
【緒言】川崎病(KD)治療におけるIVIG不応例は一定数存在し、冠動脈病変(CAL)のリスク群である。当院ではIVIG不応例には心エコーを連日行い、冠動脈内径(CAD)が拡大傾向にある症例には3rd line治療として積極的に血漿交換療法(PE)を導入している。【対象と目的】2014年11月から2021年12月までに、KDで加療した524例を対象にIVIG不応例の後方視的検討を行い、冠動脈後遺症の観点から3rd line治療選択の妥当性を検証した。CALの評価はガイドライン(2020年改訂版)を使用し、統計学的検討はMann-Whitney U 検定を使用した。【結果】428例(81.7%)が初回IVIG反応。残り96例中、53例(10.1%)が2回目のIVIGで軽快、43例(8.2%)が3rd line治療を要した。3rd line治療の内訳はIVIGが8例(1.5%)、CyAが6例(1.1%)、IFXが17例(3.2%)、PEが11例(2.0%)。全症例中、心血管合併症は一過性拡大(分類2)が4例(0.8%)、拡大(分類3)が11例(2.1%)、心筋炎が3例(0.6%)。PE群、非PE群(IVIG、CyA、IFX)の2群間の背景因子に有意差はなかった。3rd line治療開始時の冠動脈 Z scoreはLMT(3.63[0.50~5.41] vs 0.98[-0.68~4.35] )、LAD(3.1[0.74~4.25] vs 0.63[-1.45~2.99] )、LCX (2.29[0.02~4.45] vs 0.82[-0.92~2.15])に有意差がみられたが、RCA(2.55[-0.4~5.78] vs 1.25[-0.71~3.19])に有意差はなかった。発症1か月後のLMT(2.07[0.09~3.65] vs 1.04[-1.51~3.39])、LAD(1.47[-0.28~3.41] vs 0.44[-2.16~2.78])には有意差がみられたが、RCA(0.35[-1.30~3.84] vs 0.935[-1.07~4.6])、LCX(1.19[-0.9~2.69] vs -0.02[-1.86~2.54])に有意差はなかった。【結語】当院のPEを含めたKD治療戦略において中等瘤以上のCAL を残した症例はなかった。CAD、Z scoreを参考にした3rd line治療選択は有用である可能性がある。