[II-P4-8-03] 小児心臓外科術後の精神運動発達遅滞に対する理学療法および多職種介入した1症例
Keywords:先天性心疾患, 心臓外科術後精神発達遅滞, 理学療法介入
【背景】先天性心疾患(Congenital Heart Disease: CHD)児の心臓手術を受けた乳幼児の精神運動発達遅滞が注目されているが,具体的な介入方法やフォローアップに関する報告は少ない。【症例】完全型房室中隔欠損症に対し姑息的に肺動脈絞扼術後,生後6か月20日(POD1)に根治術および僧帽弁形成術を施行した男児。術前最高運動到達機能は定頸であった。術後心不全管理に難渋しPOD39抜管するもPOD41再挿管となった。生後9か月27日 (POD98) 僧帽弁置換術,三尖弁形成術,心房中隔欠損閉鎖術を施行した。POD119抜管し,POD128小児科病棟転出となった。病棟にて内科加療を継続し,POD221自宅退院された。【リハビリテーション経過】POD2より介入開始。ICUの人工呼吸器管理中は,深鎮静管理にて無気肺予防中心に介入した。抜管前後循環動態が安定し浅鎮静管理とした後,横抱きから開始した。小児科病棟転出時,生後10か月24日 (POD128) の体重6136g。頸部,体幹,四肢は低緊張で,開眼はあるが追視や頭部回旋は困難であった。デンバー式発達スクリーニング検査 (DDST) は個人‐社会1か月,微細運動‐適応2か月,言語1か月,粗大運動0か月であった。理学療法は心機能を留意しつつPOD120横抱き,POD164縦抱き,POD177椅子座位へと進めた。ICUから一般病棟および外来看護師へ精神運動発達遅滞の状況を伝達し,引継ぎの際はリハビリプランの共有を図った。退院時1歳2か月(POD221)の体重7500g。DDSTは個人‐社会8か月,微細運動‐適応10か月,言語6か月,粗大運動6か月まで発達促進した。一般病棟では臨床心理士,保育士,社会支援部も介入の上,外来では長期サポートの観点で療育センターの情報提供も実施された。【まとめ】小児心臓外科術後の精神運動発達遅滞に対し多職種で経時的な発達支援を実施できた。評価内容およびリハビリプランの共有と患者家族も含めたサポート体制の充実は精神運動発達の一助となる可能性がある。