The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスター発表

多領域

ポスター発表(II-P4-8)
多領域 II

Fri. Jul 22, 2022 3:30 PM - 4:30 PM ポスター会場

座長:中島 弘道(千葉県こども病院 循環器内科)
座長:水野 芳子(東京情報大学 看護学部)

[II-P4-8-04] 小児期に植込型補助人工心臓を装着した患者の自立支援 -成人への移行期に自己管理を促進する関わり-

北村 真世1, 竹谷 亜希1, 吉川 亜矢子1, 石田 知子1, 安藤 菜摘子1, 圓見 千代1, 渡邊 卓次2, 平 将生2 (1.大阪大学医学部附属病院 看護部 小児医療センター, 2.大阪大学大学院 医学系研究科 心臓血管外科)

Keywords:植込型補助人工心臓, 移行期支援, 自己管理

【背景】小児期に植込型補助人工心臓(以下、VAD)を装着した患者の多くは、成人への移行期を心臓移植待機期間として過ごすことになるが、親が主体となってケアをしていることが多い。本症例の患者は、VAD装着から3年以上が経過し、ドライブライン感染を契機に付き添い者無しの長期入院となった。機器管理や一包化された内服薬の管理など、規定通りのことはできるが、臨機応変な行動は難しく、心臓移植後の生活を見据えて自己管理を促進する必要があると考えた。
【介入の実際】疾病や治療に関する本人の知識不足に対し、医師や薬剤師と協働して説明し、聞いた内容や感想を書いてもらい理解度と受け止め方を確認した。また、自己管理への動機付けとなるように、将来の夢について本人と話し、それに必要なことを一緒に考え、一環として学習支援を行った。活動量や飲水量の調節などについては、本人の希望を取り入れながら目標を設定し、指導を進めた。
【結果】疾病や治療に関する説明と内容の整理を繰り返すことで、その度に本人が自己管理の必要性を認識した。また、将来に意識が向いたことで、療養生活に関する本人の希望も少しずつ出てくるようになった。一度できても持続しないこともあり、特に水分管理には難渋した。しかし、体重コントロールがつくと調子が良いことを実感し、自分の行動で調整できることがあると分かると、目標に向けた行動を自分で考えてできるようになり、自己管理が促進された。
【考察】成人への移行期の自立支援において、患者本人が理解力や発達に合った説明を受けて疾病や治療を理解すること、自己管理の必要性を認識し、それが将来につながると分かることが重要である。しかし、その意思は成人のように確実ではないため、支援者は、移行過程に生じる患者の変化を捉え、本人が望む将来を把握し、肯定的・受容的態度で関わる必要がある。