第58回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

多領域

ポスター発表(II-P4-8)
多領域 II

2022年7月22日(金) 15:30 〜 16:30 ポスター会場

座長:中島 弘道(千葉県こども病院 循環器内科)
座長:水野 芳子(東京情報大学 看護学部)

[II-P4-8-09] 医療機関における先天性心疾患をもつ子どものエンド オブ ライフケア-家族へのグリーフケアを通して-

木下 笑香1, 橋詰 裕子2 (1.広島市立広島市民病院 看護部, 2.広島市立広島市民病院 看護部)

キーワード:エンド・オブ・ライフケア, 母子分離, COVID-19

【背景】エンド オブ ライフケアは、生命を脅かす疾患を持つ子どもと家族が、最善の生を全うできるよう支援することである。当院は高度急性期病院で、小児病棟でも重症疾患患者を受け入れているため、看取りに至るケースは少なくない。しかし、エンド オブ ライフケアについての経験値を蓄積する機会が少ないため、検討する必要があると考えた。【目的】1事例の治療やケアの選択における意思決定の場面に焦点をあて、エンド オブ ライフケアについて検討する。【方法】21trisomyで心疾患、呼吸器疾患を持ち、生後10か月で亡くなった女児の、2020年4月から2021年6月までの看護記録や研究者との対話場面での両親の発言内容を、児の生前と死後で比較検討した。【結果・考察】エンド オブ ライフケアの構成要素の一つに、意思表明・決定支援がある。今回の事例でも、医療者カンファレンス、家族へのICを繰り返し、意思表明・決定支援を行った結果、生前には「こんな話だろうと思っていたので大丈夫です。」など覚悟の発言があり、死後直後も「本当によくしてもらったし、最後まで賑やかでよかった。」など受容の発言があった。しかし、家族と医療者間の意向や認識には相違があり、それは生前の「私が一緒にケアしてしんどくなるならしたくない。」といった発言や、死後の「看護師さんたちが母児同室のことをしきりに言われていた意味が、亡くなってから腑に落ちた。」などの発言から伺えた。この乖離した家族と医療者間の意向や認識には、容態の悪化に伴う治療のための母子分離やCOVID-19による面会制限などが影響したと推察された。【結論】1.医療者カンファレンス、家族へのICを継続的に行うことは、子どものエンド オブ ライフケアとなるが、家族と医療者間の意向や認識には乖離がみられた。2.容態の悪化に伴う治療のための母子分離やCOVID-19による面会制限などが、家族と医療者間の意向や認識の乖離に影響を及ぼした。