[II-P5-1-01] 奇静脈を温存したone and a half ventricle repairの遠隔期成績
Keywords:One and a half ventricle repair, Azygos vein, Long term outcomes
【背景】One and a half ventricle repair(1.5VR)は、右心室(RV)や三尖弁の低形成を伴う先天性心疾患に対して有効である。奇静脈の上大静脈(SVC)への環流を温存するとSVCまたは右房(RA)の減圧に有利と報告されている。今回、奇静脈を温存した1.5VRの遠隔期成績を後方視的に検討した。【方法】2000-2020年の期間、奇静脈を温存した1.5VRを行った4人を対象とした。適応は、三尖弁輪径Z score (TVz)が-10~-2または右室拡張末期容積(RVEDV[%N])が30~80%Nとした。生存率、再手術回避率、術前・術後の心エコー・カテーテル検査のデータを評価した。【結果】データは中央値(範囲)、圧単位はmmHgで示す。手術時年齢2.4(1.9-5.8)歳、体重9.9(7.9~15.6)kg。術前は、TVz -4.5 (-7.5~-2.4)、RVEDV 54(30~57)%N、SVC圧 8、RA圧8、体血流量(Qs) 3.4(2.3~3.7) l/min・m2、肺血管抵抗(PVR) 1.2(0.6~2.3) WoodUであった。追跡期間は17.5(3.1-19.1)年で死亡や再手術はなかった。術後遠隔期では、TVz -1.9(-7.6~+1.5), RVEDV 83(29~151)%Nと術前より有意に増大し、SVC圧12(11~14)、RA圧6(3~14)、Qs 3.2(2.3~3.6) l/min・m2、PVR1.1(0.9~2.0)WoodUは術前と有意差なかった。4例中3例は2心室修復へのconversionが可能な状態で待機中。肺動脈から奇静脈への逆流は軽度でcircular shuntは問題とならなかった。【考察】TV/RVの成長理由として、右心機能改善に伴ってRA圧が低下しSVC領域の血流が奇静脈を経由してRVへ流れ右心機能相応の前負荷増加が起こったと推察される。右心機能に応じてGlenn/右心室経由の血流が自動的に制御されると考えられた。右心機能改善が進みcircular shuntを生じる前に2心室修復へのconversionを考慮すべきである。【結語】奇静脈を温存した1.5VRの遠隔期成績は良好で、上/下大静脈環流量の変化によりRVの能力に応じた容量負荷が得られ2心室修復へのconversionが期待できる。