[II-P5-1-02] Nunn弁による右室流出路再建術を施行したファロー四徴症の術後遠隔期成績
キーワード:Nunn弁, ファロー四徴症, 心臓MRI
【はじめに】当施設では2007年からファロー四徴症(TOF)およびTOF類縁疾患の右室流出路再建(RVOTR)に、Bicuspid PTFE valve(Nunn弁)を用いた修復を行ってきた。Nunn弁によるRVOTRは従来の一弁付きパッチと比較して弁逆流の制御に優れているとされる。【目的】Nunn弁によるRVOTRを施行され10年以上が経過した症例の遠隔期成績を検討すること。【対象と方法】2007年から2012年にTOFおよびTOF類縁疾患に対してNunn弁を用いたRVOTRを施行(術後10年以上経過)し、現在もフォローアップしている17例を対象とした。術後観察期間中央値[範囲]は13.3年[10.0-14.8年]であった。心不全症状、不整脈出現の有無、心臓カテーテル検査、心エコー検査、心臓MRI検査所見を後方視的に解析した。【結果】心不全症状を呈した症例や持続性心房性/心室性不整脈を発症した症例、遠隔期死亡および再手術を要した症例はなかった。心エコー検査でPRは軽度14例、中等度3例で、重度例はなかった。17例中9例で心臓MRIを施行しており、撮像時期の中央値[範囲]は術後12.4年[9.3-13.0年]であった。RVEDVIは95.1±18.8ml/m2、PR fractionは27.1±9.7%であった。PSに関しては、手術後6.0±3.8年で心臓カテーテル検査が施行された16症例のうち4例でPTPVが施行されていた。PSの原因はNunn弁の石灰化や可動性低下によるものであった。右室-肺動脈圧較差が40mmHgを超えていた症例が1例あったが、PTPVにより右室-肺動脈圧較差は30mmHgに減少しており、手術介入をした症例はいない。【まとめ】Nunn弁によるRVOTRが施行された症例の遠隔期予後は良好であり、心不全症状や不整脈の出現、PRによる右室拡大のために再手術を要した症例は1例もなく、Nunn弁はPRを制御する点においては有効な選択肢となり得る。一方で、弁の可動性不良によるPSの出現には注意が必要である。今後も長期にわたりフォローアップを続け、長期遠隔期成績を明らかにしていく必要がある。