[II-P5-1-07] 当院における完全型房室中隔欠損症に対する外科治療の変遷と成績―21Trisomyの影響―
キーワード:房室中隔欠損症, 外科治療, 適応
【はじめに】当院では完全型房室中隔欠損症(cAVSD)に対する外科治療介入は,3ヵ月,4.0kg以上であれば一期的修復(PR)を目標としているが,人工心肺使用に対して懸念(合併病変,未熟性,気道系の問題など)があれば肺動脈絞扼術を挟んだ二期的修復(SR)を施行してきた.最近では基本がSRとなり,余裕があればPRとなってきたので,その変遷と成績を後方視的に検討する.【対象】1997-2021にcAVSDに対して修復術を行った40人を対象とした.21Trisomy (D症) は31例(78%).合併疾患はCoA/IAA 7,TOF 2,重複僧帽弁口 1,単一乳頭筋1,SAS 1,多脾症1,十二指腸狭窄・鎖肛6.共通房室弁の形態はRastelli A 25, B 1,C 14.修復戦略はPR 11,SR 29.修復方法はTwo patch 28, Modified one patch 11, One patch 1. 【結果】1997-2010(前期)19人,2011-2021(後期)21人を比較検討した.D症は(前期/後期)(14; 73%/17; 81%)であった.修復戦略はPR(8 / 3),SR(11 / 18)でSRを選択することが増えていた.前期では4例(PR 1, SR 3)に病院死亡(HD)を認め,すべてD症であった.後期では認めなかった.全例の遠隔期CTR 53.6%,MR 1.6(trivial-mild),BNP 32.7, HANP 66.2で,左側房室弁への再介入は前期・後期ともになかった.【考察】HDの4例すべてD症で,PR 1例,SR 3例であったことから,SRの優位性は特に認められなかったと考えられるが,前期の結果からD症自体に慎重となり後期ではSRが増え成績が改善していたと考えられた.また,現在のところ左側房室弁への再介入はなく,回避率は100%であるが,これも遠隔期のMRの程度,BNP, HANPの値から考えると,D症の活動性の低さが影響していて再手術がないと考えられた.【結語】cAVSDの外科治療介入に際してはD症の影響を考慮する必要があると考えられた.また,左側房室弁への再手術介入にもD症が影響していると考えられた.