第58回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

外科治療遠隔成績

ポスター発表(II-P5-1)
外科治療遠隔成績

2022年7月22日(金) 16:40 〜 17:40 ポスター会場

座長:落合 由恵(JCHO九州病院 心臓血管外科)
座長:宮地 鑑(北里大学医学部 心臓血管外科)

[II-P5-1-08] Fallot四徴症に対する一弁付き右室流出路再建における遠隔期成績

田中 啓輔1, 片山 雄三1, 磯部 将1, 清水 由律香2, 高月 晋一2, 松裏 裕行2, 緒方 公平3, 日根 幸太郎3, 増本 健一3, 与田 仁志3, 渡邉 善則1 (1.東邦大学医療センター 大森病院 心臓血管外科, 2.東邦大学医療センター 大森病院 小児科, 3.東邦大学医療センター 大森病院 新生児科)

キーワード:Fallot四徴症, 一弁付き右室流出路再建, 遠隔期成績

【背景・目的】Fallot四徴症(TOF)に対する治療成績は向上し、遠隔期のQOLが重要となっている。その背景には、人工心肺法の改良に加え、手術手技、組織補填材料や代用血管など医療材料の要素が寄与してきた。しかしながら、一弁付きパッチを用いた右室流出路再建法は、施設毎にハンドメイドで作成される事が多く、施設間のばらつきが予測される。
【対象・方法】1986年4月~2022年2月の期間に、当院で施行した初回TOF根治術(Fallot型両大血管右室起始症を含む)93例のうち、一弁付き右室流出路再建術は51例。そのうち、詳細な手術記録が存在し、フォローアップ心臓超音波検査を施行した29例を対象とした。一弁付きパッチに用いた素材・手術手技・患者背景等の因子が、遠隔期の右室流出路へ及ぼす影響を検討した。
【結果】手術時月齢はmedian 17 [IQR:12, 24]、体重は8.8 [8.2, 10.1] kg。術前PAIは267 [205, 361.5] mm2/m2、LVEDVIは71.3 [61.6, 78.4] ml/m2、LVEFは61.6 [58.8, 64.9]%で、右室切開長は15 [10, 16.5] mmであった。観察期間は10 [5, 19 (最長31)]年で、完全追跡率は86.2%であった。最終心臓超音波検査所見は、1) PR grade:mild以下 17例・moderate 7例・severe 2例、2) TRPG:平均34.8±標準偏差14.2 mmHgであり、3) 右室流出路再建に対する外科再介入は自己弁硬化1例・移植弁尖硬化1例・末梢肺動脈狭窄1例の3例であった。また、一弁付きパッチに用いた弁尖素材や肺動脈素材・自己弁形態・末梢肺動脈形成の有無・右室切開長(mm)を遠隔期予後因子と推定し、1)~3)に与える影響を検討したが統計学的有意差を認めなかった。
【結語】当施設におけるTOFに対する一弁付き右室流出路再建の遠隔期成績はPR grade moderate以上9例(31%)、外科再介入3例(10%)であった。