[II-P5-2-01] 肺静脈閉塞を伴う総肺静脈環流異常症に合併した重症先天性肺障害の予後
キーワード:総肺静脈環流異常症, 肺静脈閉塞, 肺障害
【背景】肺静脈閉塞(PVO)を伴う総肺静脈環流異常症(TAPVC)では, 肺静脈うっ血や肺リンパ管拡張症により胎児期から肺障害を来すことがあり, 出生後早期の修復術にも関わらず予後不良となる症例が存在する.
【対象と方法】当院で2014年12月から2020年11月までに手術を施行したTAPVC連続78症例のうち, 重症先天性肺障害の症例を抽出しその予後を検討した. 抽出にあたっては当院で撮影した初回の胸部単純X線写真を6人の医師(小児循環器専門医3人と新生児専門医3人)が重症度に応じて点数化(医師1人につき重症2点, 中等症1点, 軽症0点→6人分を合計し最大12点)し, 合計点が8点以上のものを重症先天性肺障害と定義した. 初回のX線写真が生後1か月以降であった症例は除外した. これらの患者について機能的単心室群(SV群)と二心室修復群(BV群)に分類し, 比較検討した.
【結果】重症先天性肺障害と診断した患者は24人(SV群5人、BV群19人), 観察期間は1.2年(0.8~3.0年)であった. 両群の出生体重, 在胎週数, 性別, 修復術直前のSpO2に有意差はなかった. 修復術後の生存退院はSV群3人, BV群15人で, 在宅酸素(HOT)を要した症例は2人と6人, 死亡は4人ずつであった. SV群の死亡例では肺障害のためグレン術へ進めずに心機能や房室弁逆流が悪化し死亡した症例が多く, BV群の死亡例では肺高血圧や肺胞出血, リンパ浮腫, PVO再発による重症チアノーゼがみられた. 1年生存率はSV群60%, BV群74%, 3年生存率は30% vs 74%であり, 有意差はなかった(p=0.06). 3年以上生存した5人(全例BV群)のHOT症例のうち2症例で酸素が中止できた.
【考察】PVOを伴うTAPVCの重症先天性肺障害ではSV群・BV群ともに予後不良である. 特にSV群では肺障害が右心バイパス術への妨げとなっていた. 内科的な加療は困難であるが, BV群の中長期生存例の中には成長発達に伴い肺障害が改善している症例もあり, これらの患者の安定した管理のためにHOTは有用と思われた.
【対象と方法】当院で2014年12月から2020年11月までに手術を施行したTAPVC連続78症例のうち, 重症先天性肺障害の症例を抽出しその予後を検討した. 抽出にあたっては当院で撮影した初回の胸部単純X線写真を6人の医師(小児循環器専門医3人と新生児専門医3人)が重症度に応じて点数化(医師1人につき重症2点, 中等症1点, 軽症0点→6人分を合計し最大12点)し, 合計点が8点以上のものを重症先天性肺障害と定義した. 初回のX線写真が生後1か月以降であった症例は除外した. これらの患者について機能的単心室群(SV群)と二心室修復群(BV群)に分類し, 比較検討した.
【結果】重症先天性肺障害と診断した患者は24人(SV群5人、BV群19人), 観察期間は1.2年(0.8~3.0年)であった. 両群の出生体重, 在胎週数, 性別, 修復術直前のSpO2に有意差はなかった. 修復術後の生存退院はSV群3人, BV群15人で, 在宅酸素(HOT)を要した症例は2人と6人, 死亡は4人ずつであった. SV群の死亡例では肺障害のためグレン術へ進めずに心機能や房室弁逆流が悪化し死亡した症例が多く, BV群の死亡例では肺高血圧や肺胞出血, リンパ浮腫, PVO再発による重症チアノーゼがみられた. 1年生存率はSV群60%, BV群74%, 3年生存率は30% vs 74%であり, 有意差はなかった(p=0.06). 3年以上生存した5人(全例BV群)のHOT症例のうち2症例で酸素が中止できた.
【考察】PVOを伴うTAPVCの重症先天性肺障害ではSV群・BV群ともに予後不良である. 特にSV群では肺障害が右心バイパス術への妨げとなっていた. 内科的な加療は困難であるが, BV群の中長期生存例の中には成長発達に伴い肺障害が改善している症例もあり, これらの患者の安定した管理のためにHOTは有用と思われた.