[II-P5-2-02] 小児期発生心疾患に起因する後天的な脳血管障害の現状
キーワード:先天性心疾患, 後遺症, 脳機能障害
【背景】 小児期に発生する心疾患に対する治療の中で生じた、脳梗塞や脳出血といった脳血管障害について、どのような脳機能障害が残存するのかを包括的に示した報告は少ない。【目的】 小児循環器医へ現状のフィードバックをおこなう。【方法】 2018年~2021年に当院へリハビリテーション目的に入院歴があり、入院時年齢が20歳以下で、循環器系疾患の病名登録がされている患者を診療録より抽出した。該当したのは16例であり、その中で、内反足の手術入院であったTOFの1例と、脳機能障害の原因が窒息による心肺停止であったASDの1例を除いた14例を対象とした。運動障害のパターン、頭部画像での病変部位、粗大運動機能、日常生活動作、精神発達について検討した。【結果】 14例の内訳は男9例、女5例、入院時年齢は1歳~20歳(平均8.7歳)であった。脳血管障害の原因となった心疾患の内訳は、先天性心疾患:8例(TOF:3例、TGA:1例、SV:3例、HLHS:1例、TA:1例、AS:1例)、IPAH:1例、DCM:1例、不整脈:2例(VF:1例、PSVT:1例)であった。頭部画像での病変部位が限局的であったのは6例であり、運動障害のパターンは、痙直型:8例、失調:2例、ジストニア:2例、低緊張:2例であった。脳血管障害の発生から1年以上経過し、症状が固定したと考えられる5歳以上の11例について、粗大運動機能は4例で独歩可能、6例で杖や歩行器等の使用で歩行可能、1例は歩行不能だった。日常生活動作については、食事は3例で経管栄養、更衣は7例で介助を必要とし、排泄は6例で介助を必要とした。精神発達については正常発達が2例、境界域が3例、軽度が2例、中等度が1例、重度が2例、最重度が1例であった。【考察】 心疾患に起因する後天的な脳血管障害児・者の脳機能障害は多岐にわたり、適切な療育環境の設定が必要となるため、リハビリテーションに携わる医師と小児循環器医との連携が不可欠である。