ポスター発表（II-P5-2）
術後遠隔期・合併症・発達 I

[II-P5-2-04] 先天性心疾患に合併した脳膿瘍の検討

^○瀬尾 尚史¹, 江原 英治¹, 門屋 卓己¹, 森 秀洋¹, 中村 香絵¹, 佐々木 赳¹, 藤野 光洋¹, 川崎 有希¹, 吉田 葉子², 鈴木 嗣敏², 天羽 清子³ (1.大阪市立総合医療センター 小児医療センター 小児循環器内科, 2.大阪市立総合医療センター 小児医療センター 小児不整脈科, 3.大阪市立総合医療センター 小児医療センター 小児救急・感染症内科)

キーワード：脳膿瘍, 先天性心疾患, 右左短絡

【緒言】脳膿瘍は, 先天性チアノーゼ性心疾患の重篤な合併症である. 心疾患に脳膿瘍を合併した場合, 死亡率は高く, 生存例の50%以上に神経学的後遺症が残存するとされている.【対象と方法】当院で2000年-2021年に脳膿瘍を発症した先天性心疾患7症例を後方視的に検討した.【結果】年齢2-17歳, 心疾患の内訳は1)Fallot四徴症術後 2)多脾症 右室型単心室 下大静脈欠損 半奇静脈接続 左上大静脈遺残 右Glenn術･肝静脈肺動脈吻合術後 3)多脾症TCPC術後 右肺動静脈瘻 体静脈側副血行路 4)僧帽弁閉鎖 両大血管右室起始症 右BTシャント術後 5)無脾症 肺動脈閉鎖 右BTシャント術後 6)Ebstein奇形 心房中隔欠損 7)心房中隔欠損術後 肺動静脈瘻であった. SpO2は75-99 %(室内気). 症例2)から6)の5例で心内右左短絡, また7)で心外右左短絡を認め, 右左短絡は精査中の1例を除く全例で認められた.初発症状として発熱, 嘔吐, 頭痛, 経口摂取低下など多彩な症状を認め, 初発時に中枢神経症状を認めたのは5例であった. 経過の中で中枢神経症状は全例に見られ, 痙攣3例, 麻痺4例, 意識障害2例, 構音障害2例(重複あり)であった. 膿瘍の部位は前頭葉や側頭葉が多く, 1例で脳幹部病変を認めた. 検出菌は全例Streptococcus属であった. 外科的ドレナージは症例1を除いた6例で施行した. 死亡はなく, 後遺症は2例で症候性てんかん, 1例で水頭症に対してシャント術を施行している.【まとめ】脳膿瘍は非特異的な症状で発症することが多く, 炎症反応上昇に乏しい場合が多いため, 診断が遅れる場合がある. 発熱や嘔吐をきたす先天性心疾患患者では, 神経症状がなくとも脳膿瘍を鑑別に挙げる必要がある. 非チアノーゼ性心疾患や根治術後など心内右左短絡がない場合も, 肺動静脈瘻など心外右左短絡が存在する可能性がある.