第58回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

術後遠隔期・合併症・発達

ポスター発表(II-P5-2)
術後遠隔期・合併症・発達 I

2022年7月22日(金) 16:40 〜 17:40 ポスター会場

座長:塩野 淳子(茨城県立こども病院 小児循環器科)
座長:篠原 徳子(東京女子医科大学 循環器小児・成人先天性心疾患科)

[II-P5-2-10] 両方向性Glenn術後に生じた遅発性乳び胸の1例

山田 俊介1, 仲本 雄一1, 岡崎 三枝子2, 豊野 学朋1 (1.秋田大学 医学部 小児科, 2.秋田大学 医学部 循環型医療教育システム学講座)

キーワード:乳び胸, 遅発性, 両方向性Glenn

【はじめに】乳び胸は, 先天性心疾患の術後合併症として比較的頻度が高く, 先天性心疾患術後の2.8-3.9%に生じるとされる.特にGlenn/Fontan手術における術後乳び胸の発生頻度は高いと報告されている.かつては外科手技による胸管やリンパ管の直接損傷が術後乳び胸の主たる原因とされていたが, 現在では半数以上は術後の中心静脈圧上昇などを契機に胸管からリンパ液が胸腔内に漏出することで発症すると考えられている.乳び胸は, 術後急性期に発症することが多く, 遅発例の報告は少ない.今回, 両方向性Glenn術後に生じた遅発性乳び胸の1例を経験したので報告する.【症例】1歳8か月男児.診断は大動脈弓離断症の術後, 両大血管右室起始症, 心室中隔欠損症.日齢21に大動脈弓再建および肺動脈絞扼術を施行した.術後14日目に乳び胸発症し, オクトレオチド投与にて軽快, 術後75日目に退院した.1歳6か月時に両方向性Glenn手術施行.術後経過問題なく, 術後15日目に退院した.両方向性Glenn術後2か月経過した定期外来受診時に左胸水貯留が確認され, 持続ドレナージ目的に当科入院.左胸腔ドレーン挿入時に白濁した胸水200mlが吸引され, 乳び胸と診断した.左胸腔ドレーン挿入後10日目に低脂肪食再開するも乳び胸再燃認めたため, オクトレオチド投与開始(0.5μg/kg/時).3.0μg/kg/時まで増量し, 胸水消失を確認した.オクトレオチド投与下に低脂肪食再開するも乳び胸再燃認めず, オクトレオチド漸減中止.第35病日に退院.以降, 現在に至るまで乳び胸再燃なく経過している.【結語】両方向性Glenn術後2か月を経過してから発症した遅発性乳び胸の1例を経験した.Glenn/Fontan術後患者では遠隔期に乳び胸を合併することがあり, 慎重な経過観察を要する.