第58回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

術後遠隔期・合併症・発達

ポスター発表(II-P5-2)
術後遠隔期・合併症・発達 I

2022年7月22日(金) 16:40 〜 17:40 ポスター会場

座長:塩野 淳子(茨城県立こども病院 小児循環器科)
座長:篠原 徳子(東京女子医科大学 循環器小児・成人先天性心疾患科)

[II-P5-2-11] 治療に難渋しているリンパ管浮腫の1例

堀口 泰典 (国際医療福祉大学熱海病院小児科)

キーワード:リンパ管浮腫, リンパ管-静脈吻合術, リンパ管造影

【目的】左下肢に生じた治療に難渋しているリンパ管浮腫の1例経験したので報告すると共に、諸氏のご意見を拝聴したい。【症例】出生時身体的特徴よりヌーナン症候群と診断された39歳2ヶ月の男性。VSDであったが右室流出路狭窄が進行し「ファロー化」した。このため小児期に心内修復術を受けた。術後経過良好でパンを製造販売する作業所で働き、グループホームで生活することができていた。術後10年ころ心臓カテーテル検査を受け軽度の肺動脈分岐部狭窄と中等度の肺動脈弁閉鎖不全が認められたが、外科的追加治療は不要と判断された。その後、右心容量負荷を考慮し19歳5ヶ月より利尿剤を開始。カルベジロール、エラナプリルなどを適時追加した。肝腫大、浮腫等無く経過していたが、29歳頃より左下肢のみが浮腫むようになった。リンパ管浮腫と考え睡眠時の左足挙上、リンパマッサージ、弾性包帯などで治療したが全く効果なく浮腫が進行した。35歳9ヶ月時、リンパ管造影で診断確定しリンパ管-静脈吻合術を実施した。しかし効果が乏しかったため脂肪吸引術を追加された。これらの治療の後、左臀部の浮腫が生じた。全経過を通して左下肢痛・「阻血症状」・機能障害などは無かった。【考案】本例はファロー化VSD(術後)で右室容量負荷が有ったが胸水貯留、肝腫大、全身浮腫は認められなかった。にもかかわらず左下肢リンパ管浮腫生じた。しかも、リンパ管-静脈吻合術でも改善せずリンパ管が存在する皮下脂肪織吸引除去が追加された。その後、リンパ管造影では下流にあたる左臀部の浮腫が生じるなど治療に抵抗している。全身の血行動態の悪化による浮腫とは考えられず次にとるべき治療の選択にも困っている。【結論】1)治療に難渋している左下肢リンパ管浮腫の1例を報告した。 2)今後とるべき治療につき諸氏のご意見を拝聴したい。