[II-P5-3-01] 川崎病初期治療にシクロスポリンAを導入した治療成績
キーワード:川崎病, 冠動脈, 免疫抑制薬
【背景と目的】川崎病の病因研究に端を発したシクロスポリンA(CsA)の治療薬開発は2020年に薬事承認に至り、2020年川崎病急性期治療ガイドラインでも推奨とされた。実臨床で、免疫グロブリン大量静注療法(IVIG)不応予測例に対してIVIG+CsAを併用する初期強化療法の成績を報告する。【方法】2020年8月から2021年12月まで、東京女子医科大学八千代医療センターと千葉大学病院小児科で、群馬リスクスコア5点以上の症例に対しIVIG+CsA治療を、4点以下の症例にIVIG治療を行った。臨床経過、冠動脈病変予後について後方視的に検討した。冠動脈Zスコア2.5以上を冠動脈病変ありと定義し、2ヶ月~1年6ヶ月のフォローを行っている。両施設の研究倫理の承認を得た。【結果】77症例のうち、冠動脈病変を認めた症例は5例(6.5%)であった。21症例(27%)が高リスクでIVIG+CsA治療を行った。治療不応2例(5歳 #6 Z=3.1、2歳 #6 Z=3.2)に冠動脈病変を認めた。IVIG+CsA初期治療の解熱率は48%(10症例)であった。一方、低リスクは56症例(73%)でIVIG治療を行った。治療不応1例(4mo: #6 Z=5.6)と治療反応2例(8mo: #6 Z=3.9、11mo: #5 Z=3.6)に冠動脈病変を認めた。IVIG初期治療の解熱率は82%であった。77症例全体で重篤な有害事象を認めなかった。【考察とまとめ】リスク層別化の上CsAを初期治療に用いた治療の成績は良好であった。冠動脈病変は両治療群に認め、治療不応例が3例(IVIG+CsA 2例、IVIG 1例)、診断遅延例2例(IVIG反応)であった。CsAの適応について、従来の臨床リスクスコアよりよい指標の探索が望まれる。