[II-P5-3-07] 生後1か月で発症した川崎病ショック症候群の1例
キーワード:川崎病ショック症候群, IVIG不応, 血漿交換
【背景】循環不全を伴う川崎病は川崎病ショック症候群(KDSS)と呼ばれ、冠動脈瘤の合併率が高いとされる。【症例】1か月男児。発熱、咳嗽、鼻汁、哺乳力低下を主訴に第1病日に乳児期早期の発熱精査目的に前医に入院した。ABPC+CTXで治療を開始され、第2病日、顔面から体幹にかけて紅斑が出現した。第3病日、高熱持続、SpO2低下、心拍数上昇を認め、敗血症を疑われ、当院PICUに転院搬送された。PICU入室時、心拍数230-250/分、 末梢冷感著明、毛細血管充満時間延長を認めた。ショックと判断し、細胞外液ボーラス投与を行った。敗血症疑いに対し、抗生剤をVCM+CTXに変更し、低血圧に対し、第3病日よりアドレナリン点滴静注を併用した。第5病日、CRP18.3mg/dlに上昇し、心エコー検査で右冠動脈起始部の拡大を認めた。発熱、結膜充血、発疹、四肢末端の変化の4項目+冠動脈病変で川崎病と診断し、IVIG2g/kg投与とアスピリン30mg/kg/day内服で治療を開始した。第6病日、口唇発赤も出現し、CRP改善なく、IVIG2g/kgの2回目を投与した。第7病日、解熱したが、CRP低下なく、発疹増強、頚部リンパ節腫脹も認め、川崎病症状は6/6となった。炎症反応と川崎病症状の改善を認めず、第8-11病日に血漿交換療法を施行した。炎症反応は低下し、発熱再燃なく、川崎病症状も改善した。右冠動脈起始部の拡大も縮小傾向となり、第18病日に後遺症無く退院した。【考察】KDDSは川崎病の中でも稀な病態で、冠動脈瘤合併が65%、死亡率は6.8%とされる。また、KDDSに冠動脈瘤を合併する場合、IVIG不応や心不全、神経症状合併率が有意に高いとされる。本症例は、生後1か月と早期の発症で、冠動脈拡大を合併し、IVIG不応のため血漿交換を施行した。循環不全と川崎病症状を伴う場合には、KDDSを疑い、冠動脈瘤形成の有無を注意深く経過観察する必要がある。【結語】循環不全を伴い川崎病症状を呈する症例では、KDDSを疑い早期の治療介入を行う必要がある。