[II-P5-3-08] 15歳以上で川崎病と診断した3症例
キーワード:川崎病, 冠動脈瘤, 成人
【背景】第26回川崎病全国調査において、15歳以上での川崎病(KD)罹患率は0.08%と稀である。当科で経験した15歳以上のKDの臨床経過からその診断過程を顧みた。【症例1】16歳、男性。咽頭痛、頸部リンパ節腫脹、発熱、皮疹を主訴に受診した。腹痛、結膜充血を認め、炎症反応高値で第5病日に前医に入院し(KD主要症状5/6)、加療されたが改善なく、ショック状態となり第9病日に当院救命救急センターへ転院となった。解熱後には膜様落屑が出現した。リンパ節生検を担当した耳鼻科医の指摘により、第32病日に当科紹介となった。造影CTで冠動脈瘤を認め、川崎病と診断した。【症例2】18歳、女性。咽頭痛、発熱、皮疹、頸部リンパ節腫脹よりKDが疑われ、近医小児科より当院当科へ紹介となった。その後、結膜充血、手掌発赤が出現した(KD主要症状5/6)。心臓超音波検査で冠動脈病変はないものの、心収縮力の低下、心嚢液貯留がみられ、川崎病と診断した。第5病日よりガンマグロブリン、アスピリン、ウリナスタチンの投与により解熱し、後遺症を残さなかった。【症例3】22歳、女性。頸部リンパ節腫脹、発熱、咽頭痛より頸部膿瘍が疑われ、近医内科より当院耳鼻咽喉科へ紹介となった。その後、結膜充血、手指の腫脹を認めたため、KDが疑われ、第5病日に当科紹介となった(KD主要症状5/6)。心臓超音波検査で異常はなかった。川崎病と診断し、第6病日よりアスピリン、ガンマグロブリン、ウリナスタチンの投与により解熱し、後遺症を残さなかった。【考察】KD診断の手引き改訂第6版によると、3症例とも、第5病日にはKDと診断できたものと考えられる。症例1は成人診療科でKDを想起できなかったことが診断の遅れにつながり、症例2、3は小児科医や耳鼻科医により早期にKDと診断でき、後遺症を残さず治療できた。15歳以上であっても、発熱性疾患の鑑別としてKDを挙げる必要性が考えられた。