[II-P5-3-10] 初期ガンマグロブリン大量療法開始後24時間以内に一度も解熱しなかった症例は追加治療になることが多い
Keywords:川崎病, ガンマグロブリン不応, 熱型
【背景】初期ガンマグロブリン大量療法(IVIG:intravenous immunoglobulin)の不応例には、治療に反応し一旦解熱したが再発熱した群と治療開始以来一度も解熱しなかった群に分けられる臨床印象があるが、治療開始以来一度も解熱しなかった群に関する文献は少ない。【目的】初期IVIG開始24時間以内に一度も解熱しなかった症例群の臨床像をまとめること。【方法】2017年4月から2021年12月までに大分こども病院に川崎病急性期で入院した全症例の臨床像を診療録から後方視的に収集した。【結果】川崎病急性期患者総数308例、1st lineとしてIVIGを全例が受けた。初期IVIG開始24時間以内に一度も解熱しなかった症例は37例(12%)で、月齢中央値34(5~126)、不全型5例:典型32例、初期IVIG開始病日中央値5(3~6)、初期治療開始前の群馬スコア中央値5(1~8)であった。追加治療を要さなかったのは1例のみで、16例が2nd lineまで、13例が3rd lineまで、7例が4~6th lineとなり血漿交換等を要した。冠動脈病変は急性期に8例、後遺症は2例に発生した(いずれも小瘤)。【考察】当院で初期IVIGを受けた患者のうち、開始24時間以内に一度も解熱しなかった症例は37例(12%)で、その群では群馬スコアが高く、1例以外は追加治療を要した。本研究の症例数が少ないため、初期IVIG開始24時間以内に一度も解熱しなかった群における追加治療を要する頻度や後遺症の発生率について本研究の結果を一般化できず、したがってこのような群における追加治療の迅速化についても本研究では結論は出来ない。【結論】初期IVIG開始後24時間以内に一度も解熱しなかった症例は追加治療になることが多い。初期治療開始以来一度も解熱しない群について追加研究が必要と思われる。