[II-P5-3-11] 川崎病診断基準を満たし、くすぶり型を呈したYp感染症の3例
キーワード:川崎病, くすぶり型川崎病, エルシニア感染症
【背景】川崎病(KD)の診断基準を満たすYersinia pseudotuberculosis (Yp) 感染症はIVIG不応例が多く、冠動脈病変(CAL)を合併する報告例も少なくない。発熱が遷延し、くすぶり型KD様の状態を呈したYp感染の3例を経験したので報告する。
【症例1】2歳女児。第8病日にKD(5/6)と診断。群馬スコア2点。消化器症状なし。第8・10病日にIVIG投与。解熱せず第13病日にIFX投与。一旦解熱するも再発熱あり第15病日からCsA開始。第29病日に解熱し第36病日にCsA終了。最大冠動脈径はRCA;1.9mm(Z;0.44)、LMT;2.5mm(Z;1.33)、LDA;2.3mm(Z;1.87)、LCX;1.7mm(Z;0.67)。便培養は陰性で、血清抗体価検査でYp3が陽性でYp感染症と診断。
【症例2】5歳女児。第9病日にKD(5/6)と診断。群馬スコア2点。第8病日に下痢あり。第9・11病日にIVIG投与するも解熱せず第13病日にIFX投与。発熱遷延し第16病日にCsA開始。一旦解熱するも第24病日に再発熱、第29病日にCRPの改善ありCsA終了。第33病日に解熱。最大冠動脈径はRCA;2.0mm(Z;0.57)、LMT;2.8mm(Z;1.91)、LDA;2.5mm(Z;2.23)、LCXは2.1mm(Z;1.54)。便培養は陰性、血清抗体価検査でYp2a、2b、2cが陽性でYp感染症と診断。
【症例3】6歳男児。第1-7病日に下痢が持続。第8病日にKD(5/6)と診断。群馬スコア2点。第8・10病日にIVIG投与。発熱持続し第11病日にIFX投与。解熱せず第13病日にCsA開始。第23病日に解熱、第26病日にCsA終了。最大冠動脈径はRCA;2.4mm(Z;0.39)、LMT;3.1mm(Z;1.27)、LDA;2.6mm(Z;1.23)、LCX;2.5mm(Z;1.46)。便培養は陰性、血清抗体価検査でYP4bが陽性でYp感染症と診断。
【考察】IVIG不応例でくすぶり型KDを呈する症例の中にはYp感染が含まれている可能性があると思われた。今回の3症例では経過中冠動脈拡大傾向がなく、血漿交換を行わずIVIG、IFX、CsAの治療でCALの合併はなかった。発熱遷延例に対する治療方針の更なる検討が必要である。
【症例1】2歳女児。第8病日にKD(5/6)と診断。群馬スコア2点。消化器症状なし。第8・10病日にIVIG投与。解熱せず第13病日にIFX投与。一旦解熱するも再発熱あり第15病日からCsA開始。第29病日に解熱し第36病日にCsA終了。最大冠動脈径はRCA;1.9mm(Z;0.44)、LMT;2.5mm(Z;1.33)、LDA;2.3mm(Z;1.87)、LCX;1.7mm(Z;0.67)。便培養は陰性で、血清抗体価検査でYp3が陽性でYp感染症と診断。
【症例2】5歳女児。第9病日にKD(5/6)と診断。群馬スコア2点。第8病日に下痢あり。第9・11病日にIVIG投与するも解熱せず第13病日にIFX投与。発熱遷延し第16病日にCsA開始。一旦解熱するも第24病日に再発熱、第29病日にCRPの改善ありCsA終了。第33病日に解熱。最大冠動脈径はRCA;2.0mm(Z;0.57)、LMT;2.8mm(Z;1.91)、LDA;2.5mm(Z;2.23)、LCXは2.1mm(Z;1.54)。便培養は陰性、血清抗体価検査でYp2a、2b、2cが陽性でYp感染症と診断。
【症例3】6歳男児。第1-7病日に下痢が持続。第8病日にKD(5/6)と診断。群馬スコア2点。第8・10病日にIVIG投与。発熱持続し第11病日にIFX投与。解熱せず第13病日にCsA開始。第23病日に解熱、第26病日にCsA終了。最大冠動脈径はRCA;2.4mm(Z;0.39)、LMT;3.1mm(Z;1.27)、LDA;2.6mm(Z;1.23)、LCX;2.5mm(Z;1.46)。便培養は陰性、血清抗体価検査でYP4bが陽性でYp感染症と診断。
【考察】IVIG不応例でくすぶり型KDを呈する症例の中にはYp感染が含まれている可能性があると思われた。今回の3症例では経過中冠動脈拡大傾向がなく、血漿交換を行わずIVIG、IFX、CsAの治療でCALの合併はなかった。発熱遷延例に対する治療方針の更なる検討が必要である。