[II-P5-4-01] 喉頭・気管・気管支軟化症を合併する高肺血流性心疾患の新生児の臨床像と治療経過
Keywords:気道病変, 先天性心疾患, 新生児
【背景】先天性心疾患の小児例での気道病変の合併はよく知られているが、高肺血流性心疾患における臨床像の詳細な報告は少ない。【目的】気道病変を合併する高肺血流性心疾患の新生児の臨床像を検討し、至適な治療について考察すること。【対象・方法】2021年までの8年間に気管支鏡で気道病変を診断した先天性心疾患の66例中、血行動態的に有意な肺血流増加と判断した新生児16例(VSD 8例、ASD 5例、PDA・CoA・AVSD・BTシャント術後が各1例)。染色体異常を14例(82%)で合併(21trisomy 12例、18trisomy 1例、CHARGE症候群1例)。L群:下気道軟化症(気管軟化症、気管支軟化症)17例、U群:上気道軟化症(咽頭軟化症、喉頭軟化症)のみ認めた6例。診断時日齢2~28(中央値24)。心臓手術前後での気管支鏡所見や呼吸管理の変化について後方視的に検討。【結果】L群の7例で心内修復術(ICR)あるいは肺動脈絞扼術を施行。SpO2低下・努力呼吸・dying spellなどの気道症状は日齢2~16で出現し、全例で新生児期に呼吸管理を施行。術後に5例で気道症状は改善し、3例で陽圧換気から離脱。気管支鏡で下気道軟化症所見は消失。呼吸器離脱できなかった4例はいずれも術前からhigh PEEPを要していた。U群の5例でICR施行。気道症状は日齢7~18で出現し、4例で呼吸管理を施行。術後に全例で気道症状は改善し、呼吸管理を要した4例中3例で陽圧換気から離脱。3例で術後に気管支鏡を施行したが、上気道軟化症の所見は不変。【考察】気道病変を有する高肺血流性心疾患は、新生児早期から気道症状を呈し、呼吸サポートを要する。上気道病変のみの例でも、外科的な肺血流制御で気道症状が改善し、呼吸器離脱が期待できる。高肺血流のみで説明困難な努力呼吸やSpO2低下を認める場合は、上下気道を含めて気道全体の評価を行い、早期に外科的な肺血流制御を考慮する必要がある。