[II-P5-4-04] 先天性横隔膜ヘルニア患者における肺高血圧と合併心疾患との関連の検討
Keywords:先天性横隔膜ヘルニア, 先天性心疾患, 肺高血圧症
【背景】先天性横隔膜ヘルニア患者(CDH)の生命予後は改善しており、80%以上の患者は生存退院するようになったが、約10%の患者では肺高血圧症(PH)が残存する。CDHの約10~20%では心血管奇形(CVM)が合併し、重篤なCVMを合併した患者の生命予後は不良とされているが、CVMと肺高血圧(PH)との関連は不明である。【目的】CDH患者におけるCVMと肺高血圧(PH)との関連を明らかにする。【方法】2011年4月~2022年3月に千葉大学病院で胎児診断および出生後の診療を行ったCDH患者41例を対象とし、 診療録からCVM合併とPH残存との関連を後方視的に検討した。【結果】生存例は30例(73.1%)で、死亡例は11例(26.9%)だった。肺動脈閉鎖を伴う心室中隔欠損(VSDPA)を合併した1例は緩和的治療を選択した後に死亡し、それ以外の死因は肺低形成7例、左心不全2例、敗血症1例であった。CVMが合併した症例は9例(22.0%)であり、主診断は心室中隔欠損(n=5)、心房中隔欠損(n=2)、VSDPA(n=1)、動脈管開存(n=1)だった。VSDPA(n=1)以外のCVM合併8例のうち7例(87.5%)が生存、1例(12.5%)が左心不全のため死亡した。生存30例のうちPH残存はCVM合併例(n=7)では3例(42.9%)、非合併例(n=23)では1例(4.3%)であり、CVM合併のPH残存に関するオッズ比は16.5 (95%信頼区間 1.4-201.4)だった。胎児期のCDH重症度はCVM合併例と非合併例での差は認めなかった。(observed/expected lung area to head circumference ratio (%) 48.4±18.9 vs 44.6±19.2, liver herniation 3/7 (42.9%) vs. 8/23(34.8%)) 【考察】CDH患者のCVM合併頻度は従来報告と同程度であった。胎児期のCDH重症度はCVM合併例と非合併例で差を認めなかったが、PH残存はCVM合併例で多い傾向があり、CVM合併がPH残存との関連が示唆された。CVMはそれ自体が重篤ではなくても、CDH患者のPH残存の要因となる可能性がある。