[II-P5-5-01] 心房中隔欠損症の右左短絡によるチアノーゼから診断された右室性心内膜弾性線維症の一例
キーワード:心内膜線維弾性症, 心房中隔欠損症, チアノーゼ
【背景】心内膜線維弾性症(EFE)は心内膜の肥厚を伴い心不全に至る予後不良疾患である。一般的に左室が主病変で右室性EFEの報告は少ない。我々はチアノーゼを伴う心房中隔欠損症(ASD)に合併した右室性EFEの1症例を経験したため報告する。【症例】1歳4か月男児。周産期異常なし。熱性けいれんで前医に入院した際にチアノーゼからASDと診断され当院に紹介となった。身長75cm(-1.4SD)、体重9kg(-1.1SD)、SpO2 92%(室内気)、2音固定性分裂、口唇チアノーゼを認めた。心臓超音波検査ではASDは二次孔欠損型で径16mmと大きくコントラストエコーで右左短絡を認めた。心臓カーテル検査は右房圧6mmHg、左房圧6mmHg、右室拡張末期圧12 mmHg、左室拡張末期圧12mmHg、肺体血流比 0.9で、右室拡張末期容量は117%N、左室拡張末期容量は149%Nであった。心房間の右左短絡は右室拡張能の低下によると判断し、心房中隔パッチ閉鎖術と右室心筋生検を施行した。人工心肺離脱時の中心静脈圧上昇は軽度でありfenestration作成は行わなかった。術中所見では前乳頭筋や三尖弁が低形成で、右室全体は肥厚した乳白色の心内膜で覆われていた。病理組織は心内膜が300μmに肥厚していたが心筋層は正常であり、心内膜線維弾性症の診断となった。術後の心臓MRIでは右室心内膜全体に遅延造影を認め右室性EFEとして矛盾しなかったが、T1 mappingで左室に限局的なextracellular volume fraction(ECV)上昇を認め、左室心筋障害の可能性も示唆された。現在は利尿剤の内服のみで症状なく経過している。【結語】ASDに合併した右室性EFE一症例を経験した。右室性EFEの遠隔期臨床像は不明確であり今後も継続した経過観察が必要である。