[II-P5-5-06] 右室型単心室症小児に発症したたこつぼ型心筋症
キーワード:たこつぼ型心筋症, 単心室症, 痙攣
【背景】たこつぼ型心筋症は一過性に左室心尖部を中心とした収縮異常を来す疾患であり小児、とりわけ単心室症患者での報告は稀である。今回、小児期右室型単心室症患者に発症したたこつぼ型心筋症を経験したため報告する。【症例】症例は4歳男児。右室型単心室症に対し3か月時にGlenn手術を行ったが左肺動脈の発育不良があったため1歳5か月時にintrapulmonary-artery septation及び左シャント術を行っていた。1歳7か月時に症候性てんかんを発症しレベチラセタムの内服を開始していたが時折痙攣を生じていた。発症当日に40分続く痙攣があり前医を受診した。抗てんかん薬で痙攣は頓挫したが直後から脈拍250 /分の上室性頻脈が出現した。抗不整脈薬を投与するも不整脈が続き、血圧低下、心肺停止に至り4分間の心肺蘇生が行われた。心拍再開後に除細動で洞調律に復帰し当院に転院となった。転院時、びまん性の心収縮低下を認め循環安定のためにカテコラミンを必要とした。入院2日目に心臓超音波検査で心尖部の無収縮と心基部の過収縮、心電図で広範囲のST上昇を認めた。入院5日目の心室造影ではたこつぼ様形態を認め、冠動脈造影では冠動脈疾患は否定的であったことからたこつぼ型心筋症と診断した。集中治療管理を続け、入院8日目に心収縮は発症前までに改善しカテコラミンも中止可能であった。一方、意識障害は遷延し、脳波で低振幅所見、頭部MRIで全範囲に及ぶ虚血所見を認め低酸素性虚血性脳症と診断し、慢性期管理を続けている。【考察】単心室症患者のたこつぼ型心筋症の報告は極めて少なく、経時的な変化を詳細に記した報告はこれまで見つけられなかった。右室型単心室症患者におけるたこつぼ型心筋症の心電図の経時的変化は成人のたこつぼ型心筋症と同様にいくつかのphaseで回復することが分かった。心電図所見の変化に合わせて心機能も改善することから超音波に加えて心電図の経時的な評価が重要と考えられる。