[II-P5-5-09] けいれん重積・横紋筋融解症に合併した若年発症のたこつぼ型心筋症
キーワード:たこつぼ, 心筋症, 遺伝子
【緒言】たこつぼ型心筋症は左室心尖部を中心とした収縮低下を来す可逆性の心筋障害であり、中枢神経障害(neurogenic stunned myocardium)や激しい精神的ショックなどの誘因により発症することが知られているが若年発症例の報告は少ない。今回、痙攣重積後に本症を発症した若年例を経験したため報告する。【症例】18歳男児。染色体微細欠失症候群(5p21.2→31.3)、レノックス・ガストー症候群で他院フォローされていた。今回後天性喉頭軟化症に対する焼灼術目的に当院に入院中であった。入院後痙攣発作を繰り返し入院4日目にCK高値(26502U/L)を認め横紋筋融解症と診断と診断した。また頻脈(心拍123/ 分)と軽度の末梢冷感を認め、NT-proBNP (13322pg/ml)も高値であった。胸部レントゲンで肺うっ血、CTR55%の心拡大あり、心電図でV1-2のQS pattern、V2-6 陰性T波、V4-6QRS低電位を認めた。心臓超音波上、心室中隔から心尖部優位に収縮低下を認めたが心基部の収縮が維持されていたことからたこつぼ型心筋症と診断した。慢性呼吸不全もあり心機能低下へのサポートも踏まえNPPVを開始、Milrinone、hANP、利尿薬を開始した。腎機能の安定化を確認しEnalaprilを追加した。経時的に心機能は改善し入院14日目にMilrinone終了、入院18日目にhANP終了とした。【考察】今回我々は中枢神経障害・痙攣重積に合併した若年発症のたこつぼ型心筋症を経験した。海外における小児たこつぼ型心筋症の報告はあるものの、精神疾患、薬物使用などの症例が多く、本邦での症例背景とは異なる。本邦小児・若年例のデータ蓄積および分析が望まれる。