[II-P5-5-10] 特異な心筋構造異常を呈する分類不能型心筋症の男児例
Keywords:拡張障害, 心内膜心筋生検, 収縮障害
左室心筋内の線維組織による拡張障害と心筋壁の菲薄化による収縮障害を併せ持つ分類不能型心筋症を経験したので報告する。【症例】 11歳男児。1ヶ月健診で心雑音を指摘され、エコーで心筋の構造異常を認めた。1歳より当院にて抗血小板薬、ACE阻害薬、強心薬内服で経過観察していた。基礎疾患や特記すべき既往歴、家族歴はない。学童期より体うっ血、運動時に軽度の息切れを認め、NYHA機能分類III度であり、β遮断薬および利尿剤を投与している。現在の心エコー所見は、左室内腔に高輝度の線維性組織が中隔と後壁に繋がっており、この異常組織によると思われる拡張障害を認め、また心尖部と中隔における壁の菲薄化を示しEFは50%と収縮能の低下を認める。本症例の特異な心筋構造異常は、肥大型や拡張型心筋症などの既知の心筋症に分類できず、分類不能型の心筋症と考えられた。Holter心電図でVTはないものの心室期外収縮を認めており、BNPは49と軽度上昇し、労作時の呼吸苦の増悪があるため、心臓MRI、心臓カテ-テル検査、心内膜心筋生検を行い、移植適応を検討する予定である。