[II-P5-5-11] 一絨毛膜二羊膜双胎の巨大心横紋筋腫に対してエベロリムスが著効した31週早産児例
キーワード:心横紋筋腫, エベロリムス, MD twin
在胎31週で出生した一絨毛膜二羊膜双胎の新生児。胎児期から双胎いずれも心臓腫瘍を指摘されていた。第1子は左室側壁や右室内心筋に心臓腫瘍が多数みられたが血流を制限するような位置にはなかった。第2子は心室中隔内に巨大な心臓腫瘍があり、左室を圧排していた。心臓腫瘍は徐々に増大傾向だったが児の健常性は保たれていた。頭蓋内病変は胎児超音波検査上明らかではなかった。母体適応による緊急帝王切開により在胎31週4日で出生し、心臓腫瘍自体は胎児診断通りで、臨床的に結節性硬化症に伴う心横紋筋腫と診断した。第2子における心室中隔腫瘍による左室腔の圧排は著明で、出生後も腫瘍は増大傾向だった。カテコラミンサポートも行っていたが腫瘍圧排による血行動態破綻が懸念されたために、日齢3よりエベロリムスによる治療を開始した。治療開始前は34.9 x 16.7 mmだったものが、19.3 x 7.0 mm(日齢22)と縮小し、左室内腔への圧排は減少し循環は安定した。第1子の心横紋筋腫は多発していたが血行動態に影響を与えるものではなかった。両児ともに日齢9の脳波検査でsmall spike waveがあり、結節性硬化症に伴うものと考えた。臨床的に大きなけいれん発作はなかったが、脳波所見から、てんかんの治療として第1子についてもエベロリムスでの治療介入を行ったところ、心横紋筋腫は縮小した。経過中に両児ともに不整脈はなかった。第2子に高血糖があり日齢6-10にインスリン療法を要した以外に副反応はなく、TDMを行いながら安全に治療を行うことができた。エベロリムスは31週早産児であっても安全に使用することができ、血行動態が破綻することが危惧される巨大な心横紋筋腫に対しても良好な治療効果を得ることができた。