[II-P5-6-01] 当院にて経験したCOVID-19関連小児多系統炎症性症候群(MIS-C)の2例における心機能障害の比較
キーワード:MIS-C, 心機能障害, COVID-19
(はじめに)COVID-19関連小児多系統炎症性症候群(MIS-C)は2020年4月より欧米から報告が相次いだが、本邦からの報告は未だ稀少である。今回、2例の異なる原因で発症したMIS-Cの心機能評価結果を報告する。(症例1)14歳男児。202X年8月下旬、COVID-19感染確認、3週間後、発熱、左頸部痛、眼球結膜充血を認め、第4病日に当院入院、COVID-19 PCR検査陰性、COVID-19抗体検査陽性、BNP 154.2pg/ml、トロポニンI 0.85ng/mlであった。IVIG、ステロイド投与し、第20病日、冠動脈病変なく軽快退院となった。治療前後の心機能評価(治療前vs治療後)では、LVEF (53.4% vs 80.3%)、LV global longitudinal strain(LV GLS: -20.3% vs -26.8%)、circumferential strain(GCS: -21% vs -27.2%)、RV global longitudinal strain(RV GLS: -19.3% vs -29.9%) 、LA global longitudinal strain(LAS: 24.1% vs 34.2%)と改善した。(症例2)12歳男児。202X年11月、ファイザー社製コロナワクチン接種、2週間後、発熱、頭痛、眼球結膜充血、手掌紅斑を認め、第4病日に当院入院、COVID-19 PCR検査陰性、COVID-19 S抗体検査陽性、BNP 66.9g/mlであった。IVIG、ステロイド投与し、第15病日、冠動脈病変なく軽快退院となった。心機能評価では、LVEF (71.5% vs 79.4%)、LV GLS (-21.8% vs -22.1%)、RV GLS (-24.4% vs -24.9%)は治療前後で変化なく、GCS (-21% vs -27.2%)、LAS (23% vs 35.7%)は治療後に改善した。(考察)症例1はCOVID-19感染後、症例2はコロナワクチン接種後にMIS-Cを発症した。海外からの報告では、MIS-Cは川崎病と比較して急性期心筋障害が重度で、LVEF, LV GLS, GCS, LAS, RV GLSが有意に低下すると報告されている。症例1では従来の報告通りの結果であったが、症例2では急性期心機能障害が顕著ではなかった。ワクチン接種後に発症したMIS-Cは世界的に報告数が稀少であり、今後、さらなる症例の蓄積が待たれる。