[II-P5-6-02] WPW症候群における左房機能の解析は心機能評価に有用であるか?
キーワード:左房機能, WPW症候群, ストレイン
【背景】左房機能は左室拡張能の指標の一つであり心不全の早期の予後指標となりえる。Wolff-Parkinson-White (WPW) 症候群は左室機能低下をもたらすとされているが、左房(left atrium : LA)機能との関連についての報告はない。【目的】小児から若年成人のWPW症候群における左房機能解析を行い、心機能低下の早期指標としての有用性の検討を行うこと。【方法】対象はWPW症候群(W-Group) 23例(12.9 ± 4.0歳)と年齢を合わせた正常対象群(N-Group)24例で、5-10歳を1群、11-15歳を2群、16-21歳を3群とした。Speckle tracking法を用いて3種類の左房ストレイン(Reservoir、Conduit及びPump strain)と左室長軸方向ストレイン(LVLS)の計測を行った。【結果】全年齢の検討ではW-GroupのReservoir strain, Conduit strain, Pump strainが(52.57±13.10 vs. 64.04±12.50、p<0,05、39.55±11.77 vs.46.16±10.62、p<0,05、13.02±4.08 vs.17.88±6.88、p<0,05) 及びLVLSが(-17.43±3.65 vs. -20.12±2.06, p<0.05)N-groupに比較し優位に低下したが、左室駆出率は有意差を認めなかった。年齢別の比較では第1群ではこれらの指標に有意差を認めなかった。第2群ではW-GroupのReservoir strainが有意に低下し、LSと左室駆出率に有意差は認めなかった。第 3群ではW-Groupの全てのLA strain、LVLS及び左室駆出率が優位に低下した。【結論】LA strainはLVLSや左室駆出率よりも早期から有意に低下し、心機能低下の早期指標となりえる。