第58回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

心臓血管機能

ポスター発表(II-P5-6)
心臓血管機能

2022年7月22日(金) 16:40 〜 17:40 ポスター会場

座長:土井 拓(天理よろづ相談所 小児科/先天性心疾患センター/周産期センター)
座長:早渕 康信(徳島大学病院 小児科)

[II-P5-6-03] 先天性心疾患術後患者における左房スティッフネス評価

岡 秀治, 伊藤 啓太, 佐々木 勇気, 今西 梨菜, 島田 空知, 中右 弘一, 高橋 悟 (旭川医科大学 小児科)

キーワード:左房機能, 左房スティッフネス, リザーバーストレイン

【背景】左房機能は不整脈や心不全と関連する重要な指標である。心臓超音波検査による左房リザーバーストレインが注目されており、これが左房の拡がりやすさを反映している。しかし、左房が拡張する際は圧変化も重要であり、リザーバーストレインのみでは左房の硬さ(スティッフネス)を評価するには不十分である。我々は先天性心疾患術後患者では早期から左房スティッフネスの上昇を認めるのではないかという仮説を立てた。【目的】先天性心疾患術後患者における左房スティッフネスを評価すること【方法】2012年4月から2021年12月に当院で心臓カテーテル検査を施行した術後3年以降の10歳以上の患者67名(10-41歳)を対象にした。対照群は川崎病罹患後の患者8名にした。肺動脈楔入圧波形からv波とx谷の圧較差を求め、この値を心臓超音波検査で求めた左房リザーバーストレインで除して、既報のごとく左房スティッフネスを計算した。【結果・考察】対照群の左房スティッフネスは0.13±0.04であり、疾患群は0.28±0.17と有意に上昇を認めた(p=0.001)。左房スティッフネスの上限値を0.25と設定すると、異常値をきたす症例は、10代は19/52名(37%)、20代は8/11名(73%)、30代以降は1/4名(25%)であり、加齢による上昇は認めなかったものの、若年のうちから異常を来している症例が多いことがわかった。左房スティッフネスと右房圧や左室拡張末期圧、左室収縮能との関連性は認めなかった。リザーバーストレインが30%以下では半数の症例で、20%以下ではすべての症例で左房スティッフネスが0.25を超えていた。【結論】先天性心疾患術後患者では若年のうちから左房スティッフネスが上昇している症例が多かった。リザーバーストレインが20%を切る場合は、左房が硬くなっており、将来的な合併症に注意が必要である。