[II-P5-6-04] 心臓MRIを使用したフォンタン循環における心室拡張障害の検討
Keywords:フォンタン, CMR, PFR
【背景】フォンタン循環は正常心に比較し低心拍出であるが、代償的心拡大はない。心臓MRI(CMR)を使用して得られる収縮期,拡張期の最大容量変化率Peak Ejection/Filling Rate (PER/PFR)は収縮能,拡張能の指標として有用である。【目的】PFRを用いてフォンタン特有の拡張障害および病態を明らかにする.【方法】2009年~2021年にCMRを行った、フォンタン後の左室型単心室(F 群)、性別/年齢をマッチさせた大血管スイッチ後の完全大血管転位(T 群)を抽出し、cvi42の自動解析補助下で全時相の左室容量解析を行った.EDV、ESV、EFおよびTime-volume curveより得られたPER,PFR(検者間再現性を保つため基部スライスは除去)をBSAで標準化し2群間で比較した。またF群内でPFR関連因子の分析を行った。【結果】F /T 群(人) 28/28 (男 36%)、年齢(歳)17.5±2.22(mean±SD、以下同)/17.5±3.75、EDV/BSA(ml/m2) 67.3±16.6/81.6±14.7(p<0.01)、EF(%) 60.2±11.5/61.7±6.5、PER/BSA(ml/sec・m2) 159.6±48.7/315.6±83.1 (p<0.01)、PFR/BSA(ml/sec・m2) 108.8±34.8/241.8±77.3 (p<0.01)であった。これらの指標の検者間差は級内相関係数(0, 2)で0.6以上であり許容内であった。F群内の解析でPFR/BSAはPER/BSA、RpI、EDV/BSAと有意な相関を示した。【考察】F群はT群に比較しPER,PFRは低値であり,EDVは有意に小さかった。またF群におけるEDVはPFRと正相関し、フォンタン患者の心室拡張障害がEDVに影響することが示唆された。フォンタン循環における心室拡張障害は、心室固有の拡張機能障害ならびに肺心室の欠如の影響と考えられるが、今検討ではF群におけるPFRがRpIと相関を示すことから、肺血管抵抗に関連した前負荷不足が拡張障害の1つの要因であることが示唆された。