[II-P5-6-06] フォンタン術後患者における肝線維化マーカー測定の意義
Keywords:フォンタン手術, 肝線維化マーカー, 4型コラーゲン
【目的と対象】フォンタン術後1年以上経過し,肝線維化マーカー(IV型コラーゲン,ヒアルロン酸)を測定している68人を対象として肝線維化マーカーと原疾患,fenestrationの有無や術後心臓カテーテルデータ,内服薬等との関連を検討した.【結果】フォンタン術後平均観察期間6.7±4.0年.平均年齢2.5±0.9歳,平均体重10.9±1.7kg.主心室形態は左心系単心室が60%,右心系単心室が40%.Heterotaxy13例,総肺静脈還流異常合併4例.患者のリスクに応じてfenestrationを行っており,Fenestrated TCPCが 56%,現在fenestrationが開存しているのは7例.心外導管は16mmが63%,18mmが35%.フォンタン術後初回カテーテル検査(術後中央値1.0年)では平均肺動脈圧 14±2.3mmHg,PAI 222.9±57.7, RpI 2.2±0.8U/m2, SaO2 88.8±6.0%と良好であった.術後中央値3.2年で測定した肝線維化マーカーは,IV型コラーゲン平均 282.3±119.2 ng/ml(<150 ng/ml),ヒアルロン酸平均 32.8±19.1ng/ml(<50 ng/ml).ヒアルロン酸は92.6%の症例で正常値だったがIV型コラーゲンが正常値の症例は11.8%のみだった. 肝線維化マーカーと主心室形態や総肺静脈還流異常の合併,fenestrationの有無等には関連を認めなかったが,IV型コラーゲンと肺動脈圧,肺血管拡張薬の有無について関連を認め,肺血管拡張薬を内服している症例は肺動脈圧が高く(p=0.0002),IV型コラーゲン高値(p=0.049)だった.また,肺血管拡張薬を内服している症例はIV型コラーゲン値が観察期間内に平均16.5%減少していた.【結語】フォンタン術後比較的早期から活動性の肝線維化マーカーであるIV型コラーゲンが異常値を示していた.IV型コラーゲンの上昇は肺動脈圧と関連し,肺血管拡張薬の内服がIV型コラーゲン減少に関与する可能性が考えられた.肝線維化はフォンタン術後早期より始まっていることが示唆され,より良いフォンタン循環を維持していくことが重要と考えられた.