[II-P5-8-02] 心室中隔欠損術後遠隔期に生じた感染性心内膜炎
Keywords:感染性心内膜炎, 心室中隔欠損, 術後遠隔期
【緒言】術後6か月以上経過した心室中隔欠損(VSD)は、残存病変がなければ感染性心内膜炎(IE)のリスクが高くはなく、抗菌薬予防投薬の対象とされていない。VSD術後遠隔期に生じたIEの幼児例を報告する。【症例】21トリソミーの男児で、10か月時に当院でVSDパッチ閉鎖術を受け、術後3か月(1歳1か月)時の心エコー図(UCG)でVSDの遺残短絡は消失しており、その後の所見も軽度の三尖弁逆流(TR)のみであった。3歳2か月時にCRP高値を伴う発熱のため、X-17日にA病院に入院、入院時の血液培養は陰性であった。CTXで加療され速やかに解熱した。X-11日にAMPC内服下で外来フォローとなったが、発熱はないもののCRPの上昇が遷延し、UCGでパッチ近傍の疣腫を指摘され、X日に当院を紹介受診、入院となった。体温38.2度、血液検査で白血球数7370/μl、CRP 8.683mg/dl、UCGで5×6mmの疣腫をパッチの右室側に認めIEと診断した。VSDの遺残短絡はなく、TRは軽度で増悪はなかった。当院入院時の血液培養も陰性で、A病院入院前に歯科治療などIEのリスクとなるエピソードはなかった。SBT/ABPCとGM併用で治療を開始し、速やかに解熱しCRPの改善もみられたが、その後にCRPの再上昇を繰り返しため抗菌薬の変更を行いながら、再発熱もあったため最終的にMEPMとCLDM併用で完遂した。X+44日のUCGで疣腫は消失し、X+49日に退院となった。【考察】先天性心疾患を合併しないIEも10%程度存在するとされ、免疫不全や留置カテーテルがない場合でも生じることがある。本児にIgGの低下はなかったが、21トリソミーの免疫低下が発症に寄与した可能性も考えられた。【結語】血液培養陰性のIEのため抗菌薬の選択に苦慮した。IEのリスクが低い場合であっても常にその可能性を念頭において検査を行うことが重要である。