[II-P5-8-03] コロナ禍の先天性心疾患術後患者における出血性十二指腸潰瘍
キーワード:アスピリン, ワーファリン, フォンタン
【背景】十二指腸潰瘍はH. pylori感染やNSAIDsおよびストレスが原因となって発症する。当院で過去15年間に経験した先天性心疾患術後遠隔期に出血性十二指腸潰瘍を合併した3例を報告する。
【症例1】20歳男性、トリソミー21。ファロー四徴症、房室中隔欠損症に対し、2か月でRt-mBTシャント造設。重症上気道狭窄・重度発達遅滞あり、心内修復適応外とされた。14歳でインフルエンザに伴う呼吸不全を契機に心原性脳梗塞およびシャント閉塞に至り、喉頭気管分離術、シャント再造設を実施。アスピリン・ワーファリン内服中。入院2日前から黒色便、黒色嘔吐あり、呼吸苦・顔色不良・SpO2低下あり救急搬送。出血性ショックに対して大量輸血、ケイセントラ®投与を行い、十二指腸球部に潰瘍あり、焼灼止血した。ワーファリン中止、PPI内服を開始し、以後再燃なし。【症例2】8歳女児、無脾症。右室型単心室、房室中隔欠損、総肺静脈還流異常に対し、1歳でBCPS、2歳でTCPC実施、アスピリン・ワーファリン内服中。食道裂孔ヘルニア術後、幽門形成術後。入院前日から腹痛、黒色便あり顔色不良あり当科入院。十二指腸球部前壁に潰瘍あり、凝固止血、RCC輸血した。PPI内服を開始し、以後再燃なし。【症例3】14歳男児、多脾症。僧帽弁閉鎖、両大血管右室起始、大動脈縮窄に対し、新生児期にsubclavian flap aortoplasty、2歳でBCPS、3歳でTCPC、4歳でSSSに対しPMI、アスピリン・ワーファリン内服中。入院当日、全身倦怠感、血便、黒色嘔吐があり当科入院。十二指腸球部に潰瘍あり、高張食塩水・エピネフリン局注し止血。3か月後に再燃し、アスピリン内服を中止。
【考察】3例全てがH. pylori非感染でアスピリン・ワーファリン治療中に発症し、うち2例はコロナ禍の発症であった。アスピリン・ワーファリン内服治療が出血性十二指腸潰瘍のハイリスクであることは当然であるが、コロナ禍の心因性ストレスによる罹病率への影響が懸念される。
【症例1】20歳男性、トリソミー21。ファロー四徴症、房室中隔欠損症に対し、2か月でRt-mBTシャント造設。重症上気道狭窄・重度発達遅滞あり、心内修復適応外とされた。14歳でインフルエンザに伴う呼吸不全を契機に心原性脳梗塞およびシャント閉塞に至り、喉頭気管分離術、シャント再造設を実施。アスピリン・ワーファリン内服中。入院2日前から黒色便、黒色嘔吐あり、呼吸苦・顔色不良・SpO2低下あり救急搬送。出血性ショックに対して大量輸血、ケイセントラ®投与を行い、十二指腸球部に潰瘍あり、焼灼止血した。ワーファリン中止、PPI内服を開始し、以後再燃なし。【症例2】8歳女児、無脾症。右室型単心室、房室中隔欠損、総肺静脈還流異常に対し、1歳でBCPS、2歳でTCPC実施、アスピリン・ワーファリン内服中。食道裂孔ヘルニア術後、幽門形成術後。入院前日から腹痛、黒色便あり顔色不良あり当科入院。十二指腸球部前壁に潰瘍あり、凝固止血、RCC輸血した。PPI内服を開始し、以後再燃なし。【症例3】14歳男児、多脾症。僧帽弁閉鎖、両大血管右室起始、大動脈縮窄に対し、新生児期にsubclavian flap aortoplasty、2歳でBCPS、3歳でTCPC、4歳でSSSに対しPMI、アスピリン・ワーファリン内服中。入院当日、全身倦怠感、血便、黒色嘔吐があり当科入院。十二指腸球部に潰瘍あり、高張食塩水・エピネフリン局注し止血。3か月後に再燃し、アスピリン内服を中止。
【考察】3例全てがH. pylori非感染でアスピリン・ワーファリン治療中に発症し、うち2例はコロナ禍の発症であった。アスピリン・ワーファリン内服治療が出血性十二指腸潰瘍のハイリスクであることは当然であるが、コロナ禍の心因性ストレスによる罹病率への影響が懸念される。