[II-P5-8-04] 自然軽快した大動脈縮窄症修復術後の重度気管支狭窄の一例
Keywords:大動脈縮窄症, 術後気道狭窄, 自然軽快
大動脈縮窄症や大動脈離断症などの大動脈閉塞性疾患では, 高率に大血管と気道が複雑な位置関係にあり, さらに大動脈修復手術により大動脈と肺動脈が位置する空間の狭小化が起こりやすく気道狭窄の原因となるため,気道狭窄を解除するために大動脈つり上げ手術など追加手術が必要になることが多い. 今回我々は大動脈縮窄症修復術後に重度の左主気管支狭窄を呈し, 感染を契機に肺炎から呼吸不全を来したが回復し, 追加手術を要せず短期間で気管支狭窄が自然軽快した症例を経験したので報告する. 症例は女児. 大動脈縮窄症,, 両側上大静脈, 左室低形成の胎児診断症例. 在胎38週0日, 体重2342g, Apgar score8点/9点で正常分娩にて出生. 出生後の経胸壁心臓超音波検査で大動脈縮窄症, 心房中隔欠損症(二次孔欠損), 大動脈二尖弁, 左上大静脈遺残(冠静脈洞に還流)と診断. 日齢13に大動脈弓修復術および心房中隔欠損症閉鎖術を施行. 術後15日目(日齢23)の造影CTで左主気管支に全周性狭窄を認めたが無症状のため経過観察となっていた. 生後5か月(術後4か月)頃よりしばしば気管支炎に罹患し, 罹患時のみ聴診で左の呼吸音減弱を指摘されていた. 生後8か月(術後7か月)時に肺炎に罹患し, 呼吸状態の悪化を来し人工呼吸器管理を要した. 造影CTにて右肺炎および無気肺, 左主気管支重度狭窄および左肺過膨張を来し, 一方で大動脈再縮窄を認めた. 生後9か月(術後8か月)に経皮的大動脈形成術を施行. CT検査終了後に肺炎の改善あり, 抜管することができたが, 感染に伴う気道狭窄の症候化あり, 待機的に大動脈吊り下げ手術を行う方針となった. しかし待機中にサイトメガロウィルス感染による肝障害のため保留となり, 改善に3か月要した. しかしその間にも3回気道感染を来したが, 呼吸状態の増悪を認めなかった. 造影CT検査を再検したところ左気管支はごく軽度の圧排程度まで改善していた. 現在も手術を要せず, 経過観察継続中である.