[II-P5-8-05] Ebstein病/三尖弁異形成において両方向性Glenn術後に発生する肺動静脈瘻の検討
キーワード:Ebstein’s anomaly, tricuspid valve dysplasia, PAVM
【背景】肺動静脈瘻(PAVM: pulmonary arteriovenous malformation)はGlenn術後合併症として知られる。当センターで経験したStarnes術からBDG(Bidirectional Glenn)を経てFontan術を施行したEbstein奇形、三尖弁異形成(TVD: tricuspid valve dysplasia)において、高率にPAVMが発生したためその背景を検討した。【目的】Starns術-BDG施行例のPAVM発生の背景因子について検討する。【対象と方法】2012年から2021年にFontan術を施行したEbstein奇形2例、TVD1例(Starnes群)とPA/IVSのうちFontan術に到達した9例(PA/IVS群)を対象に診療録を用いて患者背景、Fontan術前、術直後、退院前の酸素飽和度、治療等について後方視的に比較検討した。【結果】Fontan術時年齢は25.3±5.6か月:21.4±3.0か月(p=0.37)、体重は10.0±0.5kg:9.5±0.3kg(p=0.7)、BDG~Fontan手術までの日数は559±62日:409±36日(p=0.23)でいずれも有意差はなかった。酸素飽和度はFontan術前が74±2.0%:86±3.4%(p<0.05)、術直後が88±3.2%:99±1.6%(p<0.05)、退院時が95±2.3%:97±2.9%(p=0.31)であった。退院時のHOT導入率は3例(100%):5例(56%)であった。Starnes群ではPAVMが全例発生したがPA/IVS群では認められなかった。【考察と結語】Starnes術後症例はBDG術後にPA/IVSと同様の待機期間でPAVMを発生する。これらの症例ではPAVMが早期に発生することを念頭にFontan手術時期を計画すべきであろう。