[II-P5-8-06] Fontan未到達の両方向性グレン(BDG)の検討-BDGは単心室疾患のdefinitive repairとはならないか-
Keywords:両方向性Glenn, Fontan, 予後
【背景】単心室疾患の経過で両方向性Glenn(BDG)後は安定する例が多い. 一方本術はFontanのpalliative surgeryであり凡そdefinitiveとは認識されない.【目的】Fontan未到達で経過したBDG例を評価し, 本術の位置づけを再検討する.【対象と方法】2012年以降BDGを実施した全144例中, 2022年2月で4歳以上かつFontan未到達の生存4例, 及び4歳以上で死亡した1例の計5例(G群)について現在の運動許容(主に学校管理区分), SpO2, 合併症等を後方視的に評価した. また同一期間にFontan到達かつpatent fenestrationの全30例(F群)の経過を参考とした.【結果】G群はいずれもBDG後に高いPA圧を指摘されFontanの適応は無いと判断された. 生存4例は4-10歳(中央値8.5), 全例右室性単心室(SRV)で3例は右側相同であった. SpO2 82-84(中央値83). 全例就学・就園し学校管理区分C3(例), D相当1. 合併症はPulmonary AV fistulae2例を認め, 蛋白漏出性胃腸症(PLE)は無かった. 死亡1例は房室弁置換後に心不全・肺静脈狭窄増悪で失った. F群は生存29例で4-11歳(8). SpO2 82-95(92). 管理区分E19(例), D6, C2, B2. 合併症はPLE4例の他, 難治性・反復性胸水3例を認めた. 1例は心不全の増悪によりcentral shuntへのtake downを要した. 死亡1例は5歳時に慢性心不全の増悪で失った.【考察】F群はFontanの目的の一つであるチアノーゼ脱却を達成しない. またPLE・難治性胸水を合併する等してQOLが低下する例がある. G群の長期予後は未知であるが”それなりに元気”な状況を鑑みるに, Fontan candidateでも病状・血行動態次第ではBDGをdefinitive repairとするのは選択枝と考える. 必ずしもFontanありきではなく, 症例毎に多様性をもった選択枝を家族と共有し治療を進めるのが肝要ではないだろうか.