[II-PAL-04] 心房中隔欠損症に伴うEisenmenger症候群の予後は不良である ~国際 多施設共同 前方視研究より~
Keywords:Eisenmenger症候群, 肺高血圧, 予後
【背景・目的】Eisenmenger症候群は非常に予後不良な疾患であるが、長期予後や予後予測因子は未だ詳しく分かっておらず、これらを明らかにすることを目的とする。
【方法】日本・中国にて23施設共同・前方視研究を行った。各施設で経過観察中の16歳以上のEisenmenger症候群患者を対象とし、検査結果を含めた臨床経過の追跡調査を行った。観察期間は2013年4月から2018年3月。臨床的悪化事象は以下のいずれかの事象(死亡・肺移植・入院(心不全・不整脈・全身合併症関連)・WHO-function classの悪化)を認めた場合と定義し、この発生頻度及び危険因子を検討した。また、死亡もしくは肺移植にいたる危険因子の検討も行った。
【結果】日本から78例、中国から15例の合計93例の登録があり、男性28名・女性65名だった。登録時年齢は34.0 ± 13.4歳で、SpO2は88.0 ± 9.0%だった。症例ごとのWHO-Functional ClassはI: 4, II: 63, III: 26例だった。基礎疾患としてDown症候群を28例(36%)に認めた。観察期間の中央値は4年8か月間で、観察期間中に肺高血圧治療薬を内服していたのは68例(73%)だった。
臨床的悪化事象を36例(39%)で認めた。死亡は10例(心不全4, 肺炎2, 突然死(死因不明),脳出血, 肺がん, 白血病)、肺移植は1例で、5年生存率は89.2%だった(死亡時年齢中央値45歳10か月、移植時年齢34歳7か月)。
単変量解析において死亡・肺移植の危険因子は、心房中隔欠損症に伴うEisenmenger症候群(以下ASD-ES)(p=0.01)、登録時点での胸水貯留(p<0.01)、在宅酸素療法(p=0.01)、重症三尖弁逆流(p<0.01)、レントゲン心胸郭比50%以上(p=0.03)、BNP 100 pg/mL以上(p<0.01)であった。肺高血圧治療薬内服群と非内服群で死亡・肺移植の予後に有意差は認めなかった(p=0.32)。
【結論】ASD-ESは、心不全を示す各種マーカーと並んで死亡・肺移植の危険因子であった。この患者群ではその他のEisenmenger症候群よりも、慎重な診療が必要である。
【方法】日本・中国にて23施設共同・前方視研究を行った。各施設で経過観察中の16歳以上のEisenmenger症候群患者を対象とし、検査結果を含めた臨床経過の追跡調査を行った。観察期間は2013年4月から2018年3月。臨床的悪化事象は以下のいずれかの事象(死亡・肺移植・入院(心不全・不整脈・全身合併症関連)・WHO-function classの悪化)を認めた場合と定義し、この発生頻度及び危険因子を検討した。また、死亡もしくは肺移植にいたる危険因子の検討も行った。
【結果】日本から78例、中国から15例の合計93例の登録があり、男性28名・女性65名だった。登録時年齢は34.0 ± 13.4歳で、SpO2は88.0 ± 9.0%だった。症例ごとのWHO-Functional ClassはI: 4, II: 63, III: 26例だった。基礎疾患としてDown症候群を28例(36%)に認めた。観察期間の中央値は4年8か月間で、観察期間中に肺高血圧治療薬を内服していたのは68例(73%)だった。
臨床的悪化事象を36例(39%)で認めた。死亡は10例(心不全4, 肺炎2, 突然死(死因不明),脳出血, 肺がん, 白血病)、肺移植は1例で、5年生存率は89.2%だった(死亡時年齢中央値45歳10か月、移植時年齢34歳7か月)。
単変量解析において死亡・肺移植の危険因子は、心房中隔欠損症に伴うEisenmenger症候群(以下ASD-ES)(p=0.01)、登録時点での胸水貯留(p<0.01)、在宅酸素療法(p=0.01)、重症三尖弁逆流(p<0.01)、レントゲン心胸郭比50%以上(p=0.03)、BNP 100 pg/mL以上(p<0.01)であった。肺高血圧治療薬内服群と非内服群で死亡・肺移植の予後に有意差は認めなかった(p=0.32)。
【結論】ASD-ESは、心不全を示す各種マーカーと並んで死亡・肺移植の危険因子であった。この患者群ではその他のEisenmenger症候群よりも、慎重な診療が必要である。