[II-SY09-01] Norwood手術,肺動脈再建術式による術後肺動脈形態の検討
キーワード:Norwood, 肺動脈形態, CT画像
【背景】Norwood手術の肺動脈再建方法による術後の肺動脈形態は明らかではない.【方法】Norwood術後の肺動脈形態を造影CT検査で計測し評価する.対象は2003年12月以降の造影CT評価可能であった40例で,右室-肺動脈導管(RV-PA:21例),体肺動脈短絡(BTS:7例),グレン手術(BDG:12例)の左右肺動脈距離と直径を計測し体重で除して評価した.【結果】診断はHLHSおよび類似疾患27例,大動脈離断複合8例,大動脈縮窄複合5例.男女比;26:14,手術時年齢:2.6±1.8か月(3日- 9か月),体重3.9±1.0kg(2.2-6kg)左右肺動脈距離は左右とも上葉枝分岐から主肺動脈距離でRV-PA(mm/kg)(右,左):2.8±1.4,2.0±1.5, BDG(mm/kg):4.0±1.1,2.0±0.7,BTS(mm/kg):3.1±1.0,1.9±0.8.左右肺動脈径はRV-PA(mm/kg)(右,左):0.83±0.32,0.79±0.37, BDG(mm/kg):0.87±0.23,0.8±0.14, BTS(mm/kg):0.88±0.13,0.92±0.28でそれぞれ各群に違いはなかった.しかし12例にPSを認め,うち10例はRV-PAで,8例は導管を大動脈の左右に通した反対側に生じていた.RV-PAでは導管を通した側に肺動脈分岐が牽引される傾向にあり,左/右・肺動脈距離比率は右側RV-PAで1.3±0.8,左側RV-PAで0.5±0.2 (p=0.001)で有意差を認めた.またBDGの2例に左肺動脈閉鎖を認めたがカテーテルステントで修復した.遠隔成績はBTS 3例がBDGでFontan未到達であった以外は,全例がFontanもしくはwaitingに到達し,4例に二心室修復を施行した.【考察】各術式で肺動脈形態に有意差はなかったが,分岐狭窄をRV-PA症例の導管反対側に生じていた(8/21例:38%).大動脈右側RV-PAでは左肺動脈が牽引されて狭窄を生じやすく,大動脈左側でも同様に右肺動脈狭窄を生じる傾向にあった.【結論】PV-PA導管は太さや素材硬度によって吻合部位に制約があるが,吻合位置や走行など導管による肺動脈圧迫や牽引が生じにくい配慮が必要と考えられた.