[II-SY09-02] Chimney reconstructionを施行した左心低形成症候群における新大動脈形態の経過
キーワード:新大動脈拡大, Norwood手術, chimney法
【目的】左心低形成症候群(HLHS)とその類縁疾患(vHLHS)に対するNorwood手術後の新大動脈は経時的に拡大することが知られており、それに伴う周囲組織圧排や新大動脈弁逆流合併は重篤な予後不良因子となりうる。当施設では補填物を用いずに新大動脈基部の円錐状形成による長軸方向の延長と短軸方向の短縮を行う流体力学的に有利なchimney法を導入しており、その新大動脈形態の経過を調査した。
【対象】2013年から2021年までに当施設においてchimney法を用いたNorwood手術を施行した連続20例を対象とし、新大動脈径の経時変化と同部位への外科的介入の有無について検討した。Norwood術前は超音波で肺動脈弁輪径(PVD)を、それ以後はGlenn術前、Fontan術前、Fontan術後、就学前の血管造影の新大動脈造影側面像で新大動脈弁輪径(NVD)、Valsalva洞径(SVD)、ST junction径(STJD)、上行大動脈径(AAoD)を測定し、正常大動脈基部と比較してZ scoreとして各々算出した。
【結果】疾患内訳はHLHS/vHLHS=12/8例、19例で両側肺動脈絞扼術を先行。Norwood手術時の月齢中央値2.6ヶ月、体重中央値は4.3kg。Follow-up期間中央値は2.7年(0.2-7.8年)であった。Glenn手術は13例で到達、Fontan手術は11例で到達。術前PVDは4.98±1.38であり、Glenn術前/Fontan術前/Fontan術後/就学前のNVDは4.24±1.81/4.83±2.19/4.53±1.05/2.90±0.34と拡大傾向は認めなかった(p>0.05)。SVDは4.30±1.63/5.15±1.53/4.75±1.13/4.08±0.76、STJDは2.81±1.57/2.84±1.33/2.66±0.92/2.67±0.86、AAoDは1.14±5.33/1.23±1.57/ 1.09±1.18/ 0.22±1.17と拡大傾向はなく(p>0.05)、円錐状形態が保持されていた。新大動脈基部への手術介入はなく、新大動脈弁逆流も全例でmild以下に制御されていた。
【結語】chimney 法は短期・中期的には新大動脈拡大を予防し、それに伴う弁逆流の合併も回避し得た。長期的新大動脈形態保持にはさらなる追跡が必要である。
【対象】2013年から2021年までに当施設においてchimney法を用いたNorwood手術を施行した連続20例を対象とし、新大動脈径の経時変化と同部位への外科的介入の有無について検討した。Norwood術前は超音波で肺動脈弁輪径(PVD)を、それ以後はGlenn術前、Fontan術前、Fontan術後、就学前の血管造影の新大動脈造影側面像で新大動脈弁輪径(NVD)、Valsalva洞径(SVD)、ST junction径(STJD)、上行大動脈径(AAoD)を測定し、正常大動脈基部と比較してZ scoreとして各々算出した。
【結果】疾患内訳はHLHS/vHLHS=12/8例、19例で両側肺動脈絞扼術を先行。Norwood手術時の月齢中央値2.6ヶ月、体重中央値は4.3kg。Follow-up期間中央値は2.7年(0.2-7.8年)であった。Glenn手術は13例で到達、Fontan手術は11例で到達。術前PVDは4.98±1.38であり、Glenn術前/Fontan術前/Fontan術後/就学前のNVDは4.24±1.81/4.83±2.19/4.53±1.05/2.90±0.34と拡大傾向は認めなかった(p>0.05)。SVDは4.30±1.63/5.15±1.53/4.75±1.13/4.08±0.76、STJDは2.81±1.57/2.84±1.33/2.66±0.92/2.67±0.86、AAoDは1.14±5.33/1.23±1.57/ 1.09±1.18/ 0.22±1.17と拡大傾向はなく(p>0.05)、円錐状形態が保持されていた。新大動脈基部への手術介入はなく、新大動脈弁逆流も全例でmild以下に制御されていた。
【結語】chimney 法は短期・中期的には新大動脈拡大を予防し、それに伴う弁逆流の合併も回避し得た。長期的新大動脈形態保持にはさらなる追跡が必要である。