[II-SY09-03] 左心低形成症候群に対する新生児期Norwood手術の遠隔成績
キーワード:左心低形成症候群, 先天性心疾患学会, Fontan手術
(目的) 左心低形成症候群(HLHS)に対し新生児期primary Norwood(PN)手術、両側肺動脈絞扼術(bPAB)を介したrapid two stage Norwood(RN)手術、bPABを先行した乳児期Norwood手術(BN)が行われている。本研究の目的はRN手術を含めた新生児期Norwood手術とBN手術の手術成績と遠隔成績を比較検討すること。(対象と方法)対象は3施設群で2004年よりHLHSおよび類縁疾患に対してNorwood手術を施行した 43例。RN手術 (7例)を含めた新生児期にNorwood手術を施行したN群:23例とbPAB後乳児期にNorwood手術を施行したI群:20例を検討。(結果)N群とI群のNorwood手術時年齢はN群で10.2±9.2日、I群で116.6±45.5日 (P<0.001)、手術時体重はN群で3.0±0.8 kg、I群で4.4±1.0 kg (P<0.001)。Norwood手術成績は、手術死亡はN群で8.7%、I群で10%(P=0.99)。グレン術前にshunt revisionを要した率はN群 18.8%、I群 16.7% (P=0.9)。全経過中に肺動脈狭窄へのカテーテル治療の施行回数は、N群 1.1±2.2回、I群 2.6±2.2回で有意にI群に多かった (P=0.03)。Fontan直前の肺血管抵抗はN群で1.40±0.19 wood・unit、I群で1.47±0.23 wood・unit(P=0.8)、PA indexはN群で180.3±74.2 mm2/m2、I群で130.5±36.4 mm2/m2で有意にI群で小さかった (P=0.04)。平均観察期間5.2年 (2.0-12.0)で、Norwood術後5年、10年生存率は同率でN群 75.1%、I群 62.3% (P=0.4)。Fontan手術到達率はN群 73.7%、I群 69.2% (P=0.8)。Fontan術後1年の肺動脈圧はN群で10.3±0.6 mmHg、I群で10.8±1.0 mmHg (P=0.6)、術後一年のPAIはN群で180.6±45.3 mm2/m2、I群で140.6±19.4 mm2/m2有意にI群で小さかった (P=0.04)。(結論) RN手術を含めた新生児期Norwood手術の遠隔期成績はFontan到達率を含め良好であった。RN手術を含めた新生児期Norwood手術の方が肺動脈に対するカテーテル治療が少なく肺動脈の成長が期待でき、よりよいFontan循環を達成できる可能性がある。