[II-SY09-05] Norwood術後遠隔期に向けて左肺動脈狭窄にいかに対処し維持するか?
Keywords:Norwood, hypoplastic left heart syndrome, pulmonary artery stenosis
【背景】Norwood術後には新大動脈や気管支などの周辺構造により空間が限られ,左肺動脈が狭窄・閉塞をきたすことが稀ではない.我々はFontan術後肺動脈内腔支持のためステント留置が長期にわたり有効であることを報告したが,外科的再介入との差は不明である.【目的】NorwoodまたはDKS吻合術後のFontan術後,左肺動脈狭窄に対してステント留置術もしくは外科的再介入を行った症例の効果.また,Fontan術後10年以上経過した両再介入群と非再介入群とで術後状態を比較すること.【対象】2005年9月~2021年1月にFontan型手術を施行した32例のうち,左肺動脈ステント群11例と外科的再介入群21例.外科的再介入は、左肺動脈形成に上行大動脈の縫縮を7例、人工血管間置を4例併施している.10年後遠隔評価に関しては,35例(ステント4例,外科的再介入5例,非再介入26例)を対象とした.【方法】再介入後の心血管造影正面像による肺動脈径z-scoreをステント群と外科的再介入群で比較.遠隔期評価として直近での心カテデータ(中心静脈圧,肺動脈楔入圧,心係数),Fontan関連合併症(乳糜胸腹水,蛋白漏出性胃腸症,鋳型気管支炎),肝臓病変(超音波所見)を比較した.【結果】左肺血管径z-scoreはステント群は-4.42~-0.75(平均=-2.3),外科的再介入群は-6.21~0.71(平均値=-1.5)で有意差はなかった.遠隔期評価では,ステント群/外科的再介入群/非再介入群において平均中心静脈圧10.3 / 8.0 / 10.3,肺動脈楔入圧7.5 / 4.6 / 6.0,心係数2.88 /4.11 /2.79であった.蛋白漏出性胃腸症がステント群で1例,非再介入群で1例あり,肝臓超音波上HESをステント群で1例,外科的再介入群で1例,非再介入群で7例認めた.【結語】ステントにより左肺動脈狭窄・閉塞の改善と長期維持が得られ,新大動脈縮小を併施するかどうかで外科的再介入との選択を検討する.遠隔期予後にも寄与する可能性が高いが,更なる追跡が必要である.