[II-SY14-08] 小児循環器領域における人工知能の応用:12誘導心電図
Keywords:人工知能, 学校心臓検診, 12誘導心電図
【目的】最近、人工知能(AI)が胸部X線写真から肺体血流比を予測できることを報告した。さらに12誘導心電図(ECG)判読について、信号処理とAIの融合により自動判読アルゴリズムの開発を開始した。しかし、データ数が限定的で、臨床応用に際して課題となった。本研究では、国内複数施設の小児ECGデータを収集し、AIのさらなる診断能向上を行う。【方法】多施設研究に向けてECGデータ収集アプリは、独自開発のものを作成し(特許申請中)、代表施設において、ECGの波形データの学習及び評価を行った。患者情報およびECGの波形データ(MFER形式など)、関連データ(自動診断結果など)を取得した。ECGの波形は、学校心臓検診のガイドラインに基づいて小児循環器専門医が判読し、所見を記録する。得られたデータを学習用データ(約90%)、評価用データ(約10%)の2群に分け、学習用データを用いてAI(信号処理と畳み込みニューラルネットワークを組み合わせたモデル)の学習を行う。その後、評価用データを用いて学校心臓検診のガイドライン記載の異常に対するAIの診断能をROC曲線、クロス集計により評価し、心電計に搭載されている自動診断アルゴリズムの診断能と比較する。【成績】対象は 1062 名(12 誘導ECG 1942 件)で,年齢中央値 11 歳(IQR 8-14),男児 56%であった。519 件(28%)のECGが異常を有した。Test 群のECG 310 件のうち 84 件(27%)が異常を有した。異常の有無の診断について、我々のモデルの AUC は 0.87 で、最高正診率(85%)は従来の心電計の自動判読によるもの(50%)よりも有意に高かった(P<001, McNemar 検定)。 【結論】現在、共同研究施設におけるデータ収集体制の構築、産学共同による実装も視野に、検討中である。