[II-SY17-01] 当センターの最近の単心室症例におけるFailed Fontan危険因子の検討
Keywords:Failing Fontan, Mid-term result, Risk factors
【背景】Fontan手術により重症CHDの生命予後は向上したが、遠隔期の合併症が問題となっている。また治療の進歩により低年齢でのFontan到達が可能となっている。【目的】Fontan術前データより、failing Fontanとなる危険因子を明らかにし、適切な介入時期・条件について考察する。【対象・方法】当院で低年齢Fontan術を施行するようになった2011年以降にFontan術を施行した103例を対象に、患者背景、Fontan術までの経過、検査データを単変量及び多変量解析、ROC解析で後方視的に検討した。術後に(1)死亡、(2)心不全増悪、(3)チアノーゼ進行、(4)血栓塞栓症、(5)喀血、Plastic bronchitis、(6)PLEを認めた症例をfailing Fontanと定義した。【結果】Glenn術月齢平均7.2カ月、Fontan術月齢平均30カ月、Fontan後期間平均6年3か月であった。心臓診断は、SV 47例、HLHS(variant) 8例、その他48例で内臓心房錯位症候群は28例であった。術式は全例EC-TCPCで、Fenestrationを18例に作成した。failing Fontanの所見を認めたものは15例(14.5%)で、単変量解析ではHLHS、PA圧、PA index、肺血管抵抗、主心室EDP、大動脈SaO2、収縮期血圧、hANP/BNPが危険因子となり(p<0.05)、多変量解析とROC解析では1.Fontan術前カテーテル入院時の収縮期血圧>100mmHg、2.Fontan前BNP値>25pg/ml、3.Fontan術前カテーテル時のPA index<180mm2/m2(いずれもp<0.05)が危険因子であった。これら3項目満たした11例のうちfailing Fontan症例は8例(73%)、2項目満たした12例のうち6例(50%)、1項目満たしたもの49例は1例のみ(2%)で、2項目以上の症例は1項目以下の症例よりも有意にfailed Fontanとなる可能性が高かった(52% vs 1.3%, p<0.001)。【結語】Fontan術前評価にて体血圧、BNPが高値、肺血管が細い症例は、術後にfailed Fontanとなる可能性が高く、内科的治療での改善を行った後にFontan術の適応について再検討することが必要である。