The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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シンポジウム

シンポジウム17(II-SY17)
フォンタン術後患者の予後改善のための個別化治療へ向けて:時間軸を考えた検討①長期予後を見据えたフォンタン術前の単心室循環至適管理(薬物療法、生活管理、手術介入方法、時期、その他の工夫等)

Fri. Jul 22, 2022 3:40 PM - 5:10 PM 第4会場 (中ホールA)

座長:根本 慎太郎(大阪医科薬科大学医学部 外科学講座胸部外科)
座長:宗内 淳(JCHO九州病院 小児科)

[II-SY17-02] 16mm導管は細くないか-フォンタン手術の至適時期の検討-

廣瀬 圭一, 猪飼 秋夫, 城 麻衣子, 伊藤 弘毅, 石道 基典, 鳥塚 大介, 中村 悠治, 坂本 喜三郎 (静岡県立こども病院 心臓血管外科)

Keywords:フォンタン, 遠隔期合併症, 導管サイズ

【背景】現在TCPCは1-2歳・10kgで18mmの導管を標準としているが、解剖学的要因やPVO懸念で、時に16mmを選択せざるを得ない。中長期の血行導態の悪化や合併症がサイズによるのではないかと時に懸念される。【目的】導管サイズによる比較検討から手術strategyの見直しを行うこと。【対象】2000年3月以降に行ったTCPC 370例のうち、extracardiac (EC) / intracardiac (IC) TCPCで導管が16mmの82例(S群)、18mmの208例(L群)を対象とした。男子155、女子135、手術時中央年齢は1.9歳/2.1歳(S/L、以下同様)、平均体重は9.73kg/10.77kgであった。主心室はRVに16mmが有意に多かった(p<0.0001)が、他の主な術前血行動態因子(cardiac index、PAP、IVCP、VEDP、Rpなど)に群間差はなし。術式はEC(254例中62例)と比較してIC(36例中20例)に16mmが多かった(p=0.0002)。【結果】観察期間は中央値8.7年、最大22年。近接死亡1、遠隔死亡12で死亡回避率は10年96.0%、15年92.6%で群間差なし(p=0.2221)。再手術(新規PM含む)(n=43)、入院加療を要した心不全(n=29)、新規不整脈(n=20)、PLE(n=11)など合併症発症は84例(22.7%)で、16mmで有意に高かった (p<0.0001)。Fontan再手術自体は16mm5例、18mm 4例で有意差なく(p=0.0817)、PAP(10.2mmHg/10.5mmHg)など遠隔期の主な血行動態因子も二群差を認めなかった。多変量解析 (COX比例ハザードモデル)では、主心室がRV(p=0.0029)および術前Rp(p=0.0092)が合併症発生の有意な因子であったが、導管サイズは有意ではなかった(p=0.1072)。【結語】過去約20年のTCPCを導管サイズで比較検討したが、血行動態は両群同様に保たれており、合併症の発生でも多変量解析では導管サイズは有意な因子ではなかった。現時点では18mmが入るまで待機するなどのstrategy変更までには至らないと考えるが、16mmの合併症回避率が60%を切ってくる平均術後15年あたりの導管入れ替えは一つの選択肢かもしれない。