[II-TISL-01] 三尖弁閉鎖の形態学
キーワード:三尖弁閉鎖, 左室型単心室, 心臓形態学
「三尖弁閉鎖」には、右室の流入弁が膜様に閉鎖している場合と、心房と右室が接合していない場合があり、後者がほとんどです。そのため、absent right atrioventricular connectionと表現する場合がありますが、厳密には多少異なる範疇です(房室錯位の場合に相違)。「三尖弁閉鎖」では、右室への流入部が形成されないので、多くの場合、右室は低形成、場合により痕跡的です。主心室である左室との間に心室間交通があり、そのサイズはさまざまです。狭小な場合は、右室から起始する大血管への血流路が狭窄します。右室側から見ると全周筋肉性の辺縁を有しており、刺激伝導系の走行の同定に関連します。流出部の結合パターンにより型分類されることがあります。心室・大血管結合正位、逆位、両大血管右室起始があり、流出路中隔の偏位により、肺動脈狭窄や閉鎖、あるいは大動脈弁狭窄となります。大動脈弁狭窄あるいは心室間交通狭小による大動脈弁下狭窄の場合には、Damus-Kaye-Stansel吻合、Norwood型上行大動脈再建、心室間交通孔拡大などの外科手技を考慮する必要があります。臨床的に、心房間交通の狭窄や僧帽弁の構造異常を認める場合があります。