The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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多領域パネルディスカッション

多領域パネルディスカッション(II-TRP)
先天性心疾患の児童・青年を多職種でいかに支えるのか

Fri. Jul 22, 2022 10:10 AM - 11:40 AM 第5会場 (中ホールB)

座長:糸井 利幸(聖ヨゼフ医療福祉センター )
座長:田畑 久江(札幌医科大学 保健医療学部看護学科)

[II-TRP-01] 【Keynote Lecture】医療における幅広い多職種連携

糸井 利幸 (聖ヨゼフ医療福祉センター)

Keywords:多職種連携, 医療的ケア, 移行支援

複雑先天性心疾患をもつ児童・青年を支援する基本的な柱は、彼らが各ライフステージにおいてその日常を当たり前に過ごせるようにすることと、社会人として独立するために自らの健康状態を意識しコントロールすることができるようにすることである。複雑先天性心疾患患者に対する医療は乳幼児期までは手術を行う基幹病院が主体となるが、そこでは多職種による狭義の連携医療が実践されている。その後は基幹病院あるいは地域病院での通院、かかりつけ医などを中心とした広義の多職種連携が求められる。その際、内科的・外科的介入に加えて、理学療法、作業療法、言語聴覚療法、呼吸療法、運動療法、栄養指導など、患者が抱える循環器以外の状態も含めた包括的かつ個別的なサポートが求められるが、先天性心疾患患者に対応できる専門家が限られているのが現状である。医療的ケアが必要な児童・生徒に対する教育現場での専門看護師の充実、在宅医療を担うクリニック、訪問看護、訪問リハビリテーションの整備のみならず、思春期以降は心理的サポートや就労に向けた医療サポートも必要となる。複雑先天性心疾患患者の健康維持や就労サポートなどには、保健・福祉行政の関与も極めて重要であるが、高齢者福祉に比べていまだ途上にあることは否めない。行政に対する医療側からの具体的なアプローチ(支援と牽引)を研究することも重要であり、これも広義の多職種医療連携といえるだろう。本パネルディスカッションでは多職種連携の現状を共有するとともに複雑先天性心疾患患者の包括的な健康サポートについて様々な視点から検討する。