The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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多領域パネルディスカッション

多領域パネルディスカッション(II-TRP)
先天性心疾患の児童・青年を多職種でいかに支えるのか

Fri. Jul 22, 2022 10:10 AM - 11:40 AM 第5会場 (中ホールB)

座長:糸井 利幸(聖ヨゼフ医療福祉センター )
座長:田畑 久江(札幌医科大学 保健医療学部看護学科)

[II-TRP-02] 先天性心疾患の思春期患者に対する成人移行支援―ヘルスリテラシー促進を基盤として―

堂前 有香 (千葉県こども病院 こども・家族支援センター)

Keywords:成人移行支援, ヘルスリテラシー, 先天性心疾患

 近年、小児期発症の慢性疾患患児の成人患者が増加しており、成人移行支援が重要視されている。当院でも、2018年から委員会を設置し組織的に支援を行っている。患者全体のヘルスリテラシー促進を目的として、外来患者にヘルスリテラシースクリーニングを実施している。また、自記式サマリーを患者に配布しその記載を支援している。要支援者に対しては、多職種支援や看護面談を重ねるトランジション外来を行っている。
 ヘルスリテラシースクリーニングでは、12歳以上の外来患者を対象に、病名や服薬についての理解を問うスクリーニングシートを配布している。本人が記載後に回収し、担当看護師が病名や服用理由の理解などのヘルスリテラシーの状況を確認している。更に、診療録からセルフケアの状況や親子関係、社会生活の状況や複数診療科を受診している場合は各科の成人科への転院予定など支援に関する情報を収集し、主治医や外来看護師とカンファレンスを行っている。
 トランジション外来は、患者本人と看護師との面談を基本としている。患者の病気や治療に対する理解を確認・促進したり、内服や体調管理等のセルフケアの向上、社会生活適応への支援、成人診療科の検討等を行っている。先天性心疾患の児童・青年は、病態の複雑性から、疾患名や服薬名を言葉としては記憶しているが、その内容を説明することは難しいという特徴が指摘されている。そのため、身体の働きについても理解できるように資料を工夫したり、日々の体調管理について患者が自分で考えられるように、看護師やチャイルドライフスペシャリスト、助産師等の多職種と連携を図り協働して支援を行っている。