[II-TRP-03] 先天性心疾患の幼児・児童の発達的特徴とその支援
Keywords:移行期医療, 幼児期・児童期, 発達フォローアップ
近年、医療技術の進歩により、先天性心疾患の生命予後は大幅に改善され、成人期を迎える患者も増加している。そのため、移行期医療の重要性が増している。子ども自身への説明は一定の年齢に達するのを待って行うのではなく、初めて受診をした時から、その年齢と理解度に応じて行っていくことが望ましい1)とされる。年齢や発達段階だけでなく、子どもの発達特性などの個性、家族の考え方、保護者と子どもとの関係など、様々な視点から子ども自身や子どもを取り巻く環境をアセスメントし、それに沿った対応が必要とされる。当センターでは、2013年からFontan術後患児の支援を目的として、術前後(1歳半頃)、3歳、6歳、9歳をKey Ageとして定期的な発達のフォローアップを実施してきた。新版K式発達検査、WISCを用いて発達や知的な側面を評価し、その結果を保護者と共有し、日常や集団生活の中での困りごとなどの相談を行ってきた。その中で、知的には大きく問題のない患児の中にも、学校などの集団の中で適応に難しさの見られる患児がいることが明らかとなり、2015年からVineland-2適応行動尺度を導入し、より日常の支援につながりやすいフォローアップとなるように取り組んできた。それによって、発達のフォローアップを行うにあたり、知的能力や認知機能だけでなく適応行動の観点からもアセスメントを行い、その結果に基づいた支援が必要であるという気づきを得た。今回のディスカッションでは、これまでの取り組みや得られたデータなどを基に、先天性心疾患患児の児童期までの発達の特徴や、それを基にした支援のあり方、多職種との連携のあり方などについて考えていきたい。1)山村健一郎:5.移行期医療―日本と世界の現状と課題―,小児科臨床,2021;74(6):637-640