[III-OR27-01] 当院における大動脈弓離断の治療成績
キーワード:大動脈弓離断, 複雑心奇形, 治療成績
【背景と目的】当院で行った2心室の大動脈弓離断(IAA)修復術の手術成績をまとめ、検討したので報告する。【対象と方法】対象は1981年6月から2021年5月に行ったIAA修復術179例。対象期間を1981年から2000年(時代1:69例)と2001年から2021年(時代2:102例)に分けた。心内合併奇形によりSimple群(S群)、Complex群(C群)に分類するとS群(122例)の内VSD114例、AP-window8例、C群(57例)の内DORV/TGA25例、Truncus16例、その他10例であった。初回根治術は124例、段階的手術は55例であった。手術時日齢中央値25日(0生日-4歳)、体重中央値は2.3Kg (1.45-13.6Kg)、平均観察期間は12年(最大32.8年)であった。併用術式(重複あり)はS群でVSD閉鎖114例、AP-window修復8例、C群で動脈スイッチ手術18例、ラステリー手術17例、Yasui手術20例、Kawashima手術3例であった。大動脈再建方法は直接吻合141例、直接吻合以外の形成38例であった。【結果】早期死亡は6例(3.4%)でLOS3例、肺出血1例、原因不明2例であった。遠隔期死亡は9例(5.0%)であり心不全増悪3例、敗血症3例、原因不明3例であった。Kaplan-Meier法による解析で初回手術後5年/10年累積生存率は90.6%/89.8%であった。S群とC群の術後10年生存率はそれぞれ94.0%、81.3%でありS群の生存率が高かった(p=0.01)。S群とC群の時代1/時代2での10年生存率はそれぞれ90.0%/97.0%、65.0%/90.6%でありC群で時代による生存率が改善した(p=0.007)。多変量解析にて死亡リスク因子はS群で時代1、C群で緊急手術、時代1であった。術後大動脈弓狭窄(reCoA)に対する再手術は26例あり回避率は時代と共に改善した(p=0.04)。reCoAのリスク因子は単変量解析では手術時日齢、Arch再建方法(直接吻合以外の形成)、段階的手術、時代1、多変量解析ではArch再建方法、時代1であった。【結語】当院でのIAA修復術後の成績は良好であった。特に複雑心奇形合併例で治療成績の向上を認めたが今後経過を注視する必要がある。